《活かせる国際性》を身につける ─ ウクライナ侵攻を考える

北星の国際交流ラウンジにて留学生と

国内や地域における仕事や暮らしも今やグローバル化に無縁ではいられません。グローバル社会・国際関係について体系的に学ぶ〈グローバル社会コース〉は、そんな問題意識から設定されました。経済系の2コースと組み合わせて学ぶことができ、世界経済の動きと国際社会の変化をヴィヴィッドに感じる感覚をそなえた真のグローバル人材の輩出を目指しています。また、国際的な課題に取り組む「フェアトレード」プログラムの展開も、北星経済学科の特色です。

英語を中心に発展的な語学学習を学科専門課程でも促すため、「実践英語」「時事英語」といった科目を置いています。また、海外での研修の機会として「海外実習」を欧米とアジアで展開しています。北星ならではの充実した交換留学制度海外事情・副専攻を通じても海外での学びの場を得ることができ、国際交流科目ではキャンパス内で留学生と共に学び、交流できます。

経済学科には、地球上のさまざまな地域を研究対象としている先生方がおられます。オランダ&ベルギー、アメリカ、バングラデシュ、インドネシア、ロシア、ベトナム&カンボジア、チベット&北インド、オーストリア。〈活かせる国際性〉を身に付けるなら、北星経済学科です。

野本準教授の顔写真

野本 啓介 準教授

担当科目
国際協力論
海外実習
グローバルガバナンス論
出身大学院
慶應義塾大学(院)
兼職・元職など
(元)外務省専門調査委員(ベトナム駐在)
(元)国際協力銀行(現JICA)
開発
協力論

ゼミ・講義科目では、国際協力について問題発見・解決型、政策志向の視点を重視し多角的・総合的に学びます。経済開発を基礎としつつ国際関係、政治、社会、文化などの視点を取り入れた国際協力のあり方を考えます。また、途上国における貧困等だけでなく、安全保障・紛争解決、経済・金融、環境、資源エネルギーなどグローバル社会における幅広い分野を対象とします。

海外実習では東南アジアの国々を訪問し、国際協力に関わる公的機関・NGO訪問やプロジェクト見学、日本・現地企業の訪問、世界遺産の見学、歩いての国境越えなどの日本ではできない体験を通して、現地の政治・経済・社会情勢や日本との関わりについて肌で感じながら学びます。

原島教授の顔写真

原島 正衛 教授

担当科目
現代ヨーロッパ論
時事英語
海外実習
メディアと社会
出身大学院
立教大学(院)
兼職・元職など
(元)外務省専門調査委員(ベルギー駐在)
(元)プライス・ウォーターハウス・コンサルタンツ
現代
ヨーロッパ

ウクライナへのロシアの侵略による戦争の発生により、ヨーロッパの「危機」が高まっていますが、第二次世界大戦以降ヨーロッパが積み重ねてきたヨーロッパの経済・政治・社会統合の動きも大きく変容しつつあります。現代ヨーロッパ論は、このようなヨーロッパにおける現状を理解し、将来を展望する出発点を提供するものです。ヨーロッパに関する歴史的認識を基に、現代のヨーロッパを理解する能力を養うことを課題としています。

海外実習は、夏季休暇中にはヨーロッパでの企業訪問等を含む一ヶ月内外の現地実習を行います。また2月には、フィリピンのセブ島において約一ヶ月の英語学習研修を行います。

ブリュッセル(ベルギー)のグラン=プラスにて

〈フェアトレード〉への長年の取り組みは北星経済学科の特色です。

フェア
トレード

途上国の生産者と先進国の消費者を、公正な価格を設定した商品で結び、両者の間に公正な関係を作り出すことを目指すフェアトレードは、近年世界で、また日本で大きな広がりを見せています。消費のありかたを変えることが途上国の貧困の解決につながります。この科目では、講義やワークショップにより、フェアトレードのもつ意義を、その背景となる世界経済の問題とともにさまざまな角度から多角的に学びます。その上で、札幌市内で開催されるフェアトレードイベントや道内のフェアトレード団体の活動に実際に参加する実習活動をも行い、フェアトレードの理論と実践への理解を深めます。

北星学園大学は、日本国内では2番目に「フェアトレード大学」に認定されています。

大通公園での「フェアトレード・フェスタ」の運営に携わる

猪部 さん

  • 札幌白石高校出身 2022年卒業
  • ㈱キムラ・マーケティング部
猪部さんの写真

海外旅行の経験などから国際的な貧富の格差に関心をもち、国際協力やフェアトレードについて学ぶゼミに入りました。フェアトレードに携わるサークルである北星フェアトレードでも、フェアトレードタウンである札幌市のイベントに参加して、販売・展示・講演会を行ったり、学内でも、試食・試飲の紹介イベントやタイやベトナムの製品の生協での販売などの啓発活動を行いました。海外事情(大学共通科目)でオーストラリアで現地の多様な職業の方々と交流したり、コロナ禍での入国停止の前日にカナダに入って留学するなど、在学中は貴重な経験をしました。

現在は、木材加工品や金物などの住宅資材を扱う会社で、輸入や商品流通に携わる仕事をしています。

特集:ウクライナ侵攻について

萱野教授の顔写真

萱野 智篤 教授

担当科目
国際関係論
国際政治学
フェアトレード
政治学
出身大学院
北海道大学(院)
兼職・元職など
(元)国連開発計画UNDP、ダッカ事務所)
(元)日本赤十字社(ダッカ駐在代表)
国際
関係論

国際政治学・国際関係論の観点から

国際社会には統一権力がありません。この潜在的無政府状態にいかにして平和と安定を作り出すかが国際政治学のテーマです。また、現代の国際社会では国際機関や多国籍企業、国際NGOも重要な主体となっています。国際関係論では、これらの相互関係、構造を学び、演習では、フェアトレードの理論と践から持続可能な世界を構想します。

ロシアによるウクライナへの侵攻は、NATOとロシアの誤ったメッセージのやり取りと誤算により、始まり、拡大し、長期化しました。2014年のクリミア侵攻以来のNATOの中途半端な対応、プーチンの過信と誤算……いまだ停戦の兆しは見えませんが、今後求められるのはロシアを含めたヨーロッパにおける包括的な安全保障の構想でしょう。

金野教授の顔写真

金野 雄五 教授

担当科目
国際経済学
現代の国際社会
北海道の企業
出身大学院
北海道大学(院)
兼職・元職など
(元)みずほリサーチ&テクノロジーズ
(元)外務省専門調査委員(ロシア駐在)
北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター共同研究員
国際
経済学

国際経済学の観点から

私が主に担当している講義は国際経済学です。貿易収支や為替レートなど、私たちの身近で起きている国際経済の様々な事象を理解する上で有用な諸概念・諸理論を解説します。演習では、3年次前期までは国際経済に関する書籍の輪読を行います。その後は、各自が関心のあるテーマを設定し、文献を読み、皆で議論を行いながら、ゼミ論文の完成を目指します。

ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、西側諸国は、ロシア産石油・ガスの輸入禁止などの強力な経済制裁を発動しました。こうした制裁は、ロシア経済を弱体化させる一方で、西側諸国にもエネルギー価格の高騰などの悪影響をもたらしています。このことは、今日、世界各国が貿易や投資を通じて相互に緊密に結びついていることを示すとともに、ウクライナ戦争の早期終結が、世界経済が共通して直面する課題であることも示唆していると言えるでしょう。