卒業論文の紹介

福祉心理学科での学びの「集大成」である「卒業論文」について、2人の卒業生に卒業論文の制作を振り返ってもらい、それぞれの卒業論文を制作したゼミナールの先生にコメントをもらいました。

卒業論文とは?
福祉心理学科では4年生の必修科目として、「卒業論文」を置いています。卒業論文は、自ら課題を設定し、その課題への解決を模索する一連の高度に専門的な学習です。福祉心理学科は、大学という学術研究拠点として、学生が“自ら考え解決する”能力を身につけることを目指しています。

高安 早織

高安 早織さん

2016年卒業
北星学園女子高校出身

テーマ
相手の行動が
恋心の認知に及ぼす影響

恋をするとその相手と触れていたいと思ったり、無意識のうちに相手のことを目で追っていたりします。このような恋愛中の行動についての研究は数多くなされています。しかし、異性の相手が自分に向けた行動から相手の恋心を認知をすることについてはあまり注目されていませんでした。そこで、この卒論では、参加者である大学生のソーシャルスキルや自尊心が、恋心を認知する際に影響するかどうかを検討しました。
分析の結果、まず異性が自分に向けた種々の行動は「自己開示」「下心」「つながり希求」「婚約・性的行動」といった4つの行動因子にまとまりました。そして、この4つの行動因子に及ぼすソーシャルスキルや自尊心の影響について分散分析を行い検討したところ、スキルの高い人は、相手の「婚約・性的行動」から好意を感じ、自尊心の高い人は相手の「つながり希求」と「婚約・性的行動」から好意を感じやすいことが明らかとなりました。

栗林 克匡 先生

コメント
栗林 克匡 先生

栗林ゼミでは、対人関係の中で生じる様々な心理学的問題をテーマとして研究しています。この卒業論文は、青年期の若者に関心の高い問題のひとつである「恋愛」をテーマに取り上げたものです。卒論のテーマは、自分の身近な日常での関心や疑問に対する自分なりの答えを見つけるために、自由に設定することができます。この論文では、相手の行動から好意をどの程度認知するかについて、一定の新発見ができたのではないかと思います。

高安 早織

田中 綾さん

2016年卒業
札幌北高校出身

テーマ
懐かしさを伴う映像作品による
気分誘導が自伝的記憶の
想起に与える影響

懐かしいという感情は多くの方が経験したことがあると思います。本研究は、そんな懐かしいという感情にポジティブな感情を発生させる機能があること (Routledge, Arndt, Sedikides, & Wildschut, 2008) に着目しました。懐かしさは過去に自分の経験した出来事に対して抱くことが多く、雨宮・関口 (2006) によるとそういった過去に経験した様々な個人的なエピソードに関する記憶のことを「自伝的記憶」といいます。
本研究では、映画やTVドラマの一部を抜粋し、懐かしい映像と最近の映像を、ポジティブな内容のものとネガティブな内容なもので用意し、実験参加者には映像を視聴後に自伝的記憶を想起してもらいました。その結果、最近の映像よりも懐かしい映像に対して懐かしさを感じることや、ネガティブな映像よりもポジティブな映像に対しての方が懐かしさを感じることがわかりました。また、仮説とは異なり、自伝的記憶の内容に関しては、懐かしい映像視聴後よりも最近の映像視聴後の方がその内容がポジティブなものに寄ることがわかりました。

眞嶋 良全 先生

コメント
眞嶋 良全 先生

記憶を思い出す時に、その時の気分に沿った記憶を思い出しやすいという気分一致効果 (mood congruency effect) という現象が知られています。田中さんの研究では、過去に経験した懐かしい出来事を思い出す時にも、この気分一致効果が生じるということを実証しました。当研究室でこれまで行われてきた、懐かしい映像が引き起こす感情が記憶の想起に与える影響についての集大成と言える研究になっています。

大学院臨床心理学専攻について

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