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子どもと大人との関係性
教授 西田充潔

 

 最近、障害児福祉や障害児教育の実践現場において「愛着障害」という用語を耳にする。そうしたテーマでの研修等を求められることもある。障害児とくには発達障害の治療等に関する学術的領域で取り上げられるようになってきていることと無関係ではないだろう。しかし、用語としての「愛着障害」が、どのような社会的文脈で理解され使用されているのか、気になることもある。
 半世紀ほど前に、かのBowlby,J.が愛着の理論を提示した際には、いわば愛着の“不全”ともいうべき状態を想定していた。その後に続く諸研究、なかでもAinsworth,M.らやMain,M.らによる愛着のパターン分類に関する諸研究からは、子どもに様々な愛着の状態があることが明らかにされ、子どもと親(養育者)との“関係性”を示す一つの指標として捉えられるようになった。現在は、諸基準によっていわゆる「愛着障害」が医学的に定義され、広く知られるようになっている。
 養育者からの虐待的な対応や、初期の対人認知が著しく制約される知的障害や発達障害とされる状態で育つ子どもの中には、定義されている「愛着障害」に関連した症状を示す者がいる。このような姿をみせる子どもたちに対して、療育を中心とする障害児福祉の現場や、特別支援学校など障害児教育の現場では、日夜、その対応に苦慮する場合もあるという現実がある。
 大人は子どもとの日常的な関係において“育て”、子どもは大人との関係性の中で“育つ”。「愛着障害」とされる“症状”が、こうした営みのなかで、どのように形成され、どのように変化していくのか、大人の責任において捉えていくことは重要である。ただし、子どもがみせる日常の対人関係性における難しさという姿を、概念としての「愛着障害」でのみ説明しようとすることには無理があり、それは本来的に相互的な“関係性”の視点が欠落することにもなりかねない。難しい問題である。

 

 

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