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人生のロールモデル

-Dr.Victoria Rawlings-

経済学部 経済法学科 3年
 飛岡 健

 ビクトリア・ローリングス先生はシドニー大学でジェンダー教育・LGBTQの若者への差別やいじめについて研究しています。私たちと彼女の繋がりは、シドニーに行く前から始まりました。

初めての出会い - ローリングス先生を北星に招待 -

 2019年1月、海外事情の1学年上の先輩が、以前シドニーでお世話になったローリングス先生との公開講座企画をたて、北星に一週間お招きしました。その時、私たちは先生に初めて会いました。私たち渡航前の2年生は「LGBTQ教育」のランチセッション企画の担当でした。打ち合わせの時「企画をちゃんと説明できるだろうか」と不安になりました。しかしそれは杞憂でした。先生は最初から私たちと対等に接し、不安な私の心に寄り添うように話してくれたのです。初めて会う、それも日本語を話せない先生のはずなのに、会話を少しするだけでまるで昔から私のことを知っている人のように感じました。

▲北星での一週間を終えてパーティ。一か月後にシドニーで再会する

シドニーでの再会、そして学びを広げる

 渡航後、ローリングス先生とは大学のフットボールグラウンドで再会しました。北星で長時間のセッションはすでにしてもらったので、シドニーでは、オーストラリアンフットボールのプロリーグ(AFL)で審判をしている先生からフットボールを教えてもらい、パブでカジュアルに交流会をするだけの予定でした。
 この日が先生と会う最後の機会だと思った私たちは、パブで先生の研究についての質問をたくさんしました。すると、私たちの学びたいという気持ちに応え、先生は「みんなの質問に答えるためにはもっと時間が必要だね」と、多忙にも関わらず後日改めて2時間のセッションを設けてくれたのです。

▲女性でプロリーグの審判はローリングス先生が歴史上2人目。ベストアンパイア賞も受賞している

▲先生行きつけのパブにて

もやもやした気持ちが晴れた、海外事情最後のセッション

 急遽実現したローリングス先生とのセッション。この時、私たちは心の中に葛藤を抱えていました。渡航前は、オーストラリアは多様性の国で、寛容な土壌ができていると思っていました。しかし3週間で見た現実は複雑でした。私たちは、現地の人々と交流する中で、想像していたよりずっと緊張した多文化社会の課題があると知りました。

「共存は、互いがアクションを起こし、干渉してこそ実現する」という考えと、「多様性への尊重とは、結局は相手に干渉しないことを指すのではないか」という、二つの相反する考えが頭の中に併存し、私たちは混乱していました。そのもやもやした気持ちや疑問を事前に全く伝えていないのに、先生は答えを分かっているかのように、一つの資料にまとめてくれていたのです。

その資料とは、LGBTQの人に感じる嫌悪感・差別意識を段階別にしたスケールでした。先生は、差別してしまう人はスケールの最初の段階だという説明をしてくれました。人の感情は成熟するものであり、多くの人はその発展途上にあるのだと教わりました。スケールを段階的に上げていくには、アクションを起こすしかない。つまり、干渉をしなければ、憎しみや、「上から目線の寛容」の先の段階へは進歩することができない。この結論をもらえた時、教室中の霧が晴れたような感覚になりました。

▲学生の疑問に真剣に耳を傾けるローリングス先生

私の現在地とロールモデル

 行動、言葉などを含め、先生の人間性全てから、私は「他者と対等に共存する方法」を学びました。先生は私の人生のロールモデルです。そのモデルに一歩でも近づきたいと考えていますが、私はまだまだ発展途上です。同じ日本人同士でも、自分とは違った考えを持つ人に寛容になることができず、反省することがあります。先生のように、たとえ生まれ育った背景が違っていても、他者を理解し、思いを言語化できる人間になりたいと強く思った出会いでした。

▲総まとめとなったセッション。迷いが吹っ切れ教室の雰囲気も明るくなった

 

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