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平等な社会へのアプローチの違い

-デビッド・エバンズ先生-

経済学部 経済法学科 3年
 飛岡 健

 私たちは渡航半年前に、シドニー大学でセッションをお願いできる先生を探していました。「多様性」をテーマに作業を進めると、多様性に対応した社会を目指す「ユニバーサルデザイン」の考え、それと深く関連しているインクルーシブ教育の存在を知りました。そして、その分野の研究で世界的に活躍されているデビッド・エバンズ先生に英語でセッション依頼のメールを送ったところ、お返事をいただき、会うことができました。私は経済法学科で得た法学の知識と先生の研究内容を掛け合わせて、学びを一段階深めることができました。

▲この写真は、セッション後日、研究室訪問をした時の一枚

まずは、先生の論文を読む

 渡航前に、エバンズ先生の論文を読んだ時、大学で法学を専攻してきた私にとっては驚きでした。社会での「平等」を目指すうえで、私が学んできた法学も、先生が主張するインクルーシブ教育もハンデのある人を支援することは同じですが、そのアプローチが異なっていたのです。なぜ、先生が違うアプローチを取っているのか知りたいと思った私は、本人に聞こうと思いました。これを英語で正しく質問するために、できるだけ論文を読み込み、準備を納得の行くまでしようと思っていました。

普段の学びが世界共通でないと思い知る

 私はシドニーに、北星で学んだ「憲法I」の講義ノートを持参し、繰り返し目を通してからセッション当日を迎えました。そして私は用意してきた問いをぶつけました。それは、「日本国憲法の法の下の平等と、先生が主張する平等は、アプローチが異なっているように思えます。自分の理解は正しいですか?同じ言葉なのに、なぜこのような大きな違いがあるのですか?」という質問です。
 私は、先生の論文内にある言葉と北星の講義で学んだ言葉で共通するもの(相対的平等や絶対的平等など)を使い、質問の意図を説明しようと考えていましたが、英語で適切な表現方法が見つからず、「そうだ、書いた方が早い」と思いました。私は席を離れて先生の後ろにあるホワイトボードに図を書いて質問内容を表現しました。先生は興味津々に図を見て、ところどころ頷いてくれました。緊張しましたが、私は丁寧に言いたいこと一つ一つを説明し、ようやく先生に伝えることができました。

▲セッションが行われたOld Teachers College。オーストラリアで最古の教育学部の建物のまま残っている

▲話して伝えられないのなら、書いて表現する

「世界の様々な考えを比較することが大事」と気づく

▲シドニーの街を、違う視点で歩く

 障がい者支援について、今まで学んだ範囲では、ハンデのある人のみを支援し、補うことで差をなくそうとするものだと理解していました。それに対してエバンズ先生の論文では、全ての人が抱える障がいを取り除き、ハンデの有無に関わらず全ての人が自分の力で生きられることを目指すものでした。ユニバーサルデザインについても、以前は漠然とイメージを持っていましたが、「全ての人にとって便利な支援」という部分を深く理解することができました。エバンズ先生から話を聞いたあと実際に街を歩き、札幌とシドニーを比較すると信号機ボタンなど、ありふれたものからも違いを発見できました。景色は変わっていないのに見方が変わるだけで、そこには違った光景が広がっていました。
 私が今まで見てきたインクルーシブ教育は、目に見えるハンデのみに対する支援なのではと考えます。しかし先生と話をして、多様性はもっと幅広く、見えるハンデにのみフォーカスを当てると、逆に全ての人が心地よく共生できる社会の実現を困難にさせることもあるのではと気づきました。先生の目指す平等の考えは、今までの私の中になく、私の学びを大きく発展させてくれました。

 

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