研究

社会福祉におけるグローバルな視点(K.U.ネンシュティール)

 ジェンダー論、国際福祉論等を担当していますネンシュティールです。

 社会福祉のニーズは個人のレベルで存在し、個人のレベルでの対応を要する場合が多いことは言うまでもありません。同時に、福祉の政策や根本的な方針についての決定は、(一部自治体で下されることがあっても)国家のレベルで行われます。
 しかし、福祉の問題や課題は国境で止まるわけではありません。貧困、障害、ジェンダー、労働等数々の問題は、国によって具体的な条件や法、制度は異なるものの、少なくともいわゆる先進国の間では類似性も見られ多くの課題は共通しています。それに加え、直接につながっている問題も少なからず存在します。例えば、海外での感染病の発生が、国内の医療制度の逼迫につながったり、外国人観光客の減少により国内での失業や収入減、貧困などに関わる問題を悪化させたりすることを経験します。また、主に北半球の国々の環境への影響を顧みない経済活動に起因する気候変動がアフリカ等諸地域での食糧生産を困難にし住民の貧困・健康状態の悪化を招いたり、或いは、いわゆる先進国が発展途上国から安い商品を輸入できるために現地の人々が過酷な労働条件下で働いていたり等々、視野を少し広げてみると国境を超える因果関係が絡んでいる福祉の問題は多くあります。これらの問題の現状を具体的に調べ、その解決の可能性を共に探り検討しませんか。

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