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【心コミ・リレーエッセイ 2022年度 第24回:「秋は駆け足で」(石川悟/教授 専門:学習心理学)】

2022/10/24

10月になると,秋から冬へ季節が急に変わっていきます.

上旬に久しぶりに対面状況で開催できた北星祭では,フィールド実習に参加した学生有志で,その学びを伝えるブースも出展しました.皆さんが準備してくれた「カボチャクッキー」は,午前中のうちに完売.その後の立ち寄ってくださった方には,実習で学んだことを伝えてくれました.


お客様の来店前に記念撮影



大学内で対面で開催される行事も増えてきました.

つい先日,映画「Prison Circle」の上映会がありました.島根あさひ社会復帰促進センターで取り組む「TCプログラム」に参加した受刑者を追う,坂上香監督の作品です.


映画のサイトはこちら

映画をもとにまとめられた書籍はこちら

「Prison Circle」に取り組むきっかけとなった作品「Lifers」はこちら


新しい形の刑務所を目指す「島根あさひ社会復帰促進センター」についてはこちら


「TCプログラム」という言葉を初めて聞く方もいるかもしれません.あるものごとの当事者どうしが,治療共同体(Therapeutic Community:セラピューティック コミュニティ)と呼ばれる集団に入り,その集団の場でのさまざまな活動・対話・交流を通して「自身と向き合う」取り組み,と言えばよいでしょうか.この映画は,そのプログラムに参加した受刑者のの姿を追ったドキュメンタリー映画です.その中では,自身と向き合うこと,自身の弱さを認めること,自身の今を受け入れること,自身のこれまでを受け入れること,自身を信頼すること,相手を受け入れること,相手を信頼すること,相手を頼ること,相手に支えてもらうこと,といったテーマが描かれます.

これらのテーマは,私たちの毎日の生活で出くわすことでもあります.自身を否定してしまったり,嫌な自身の姿に気づかない振りをしたり,相手を一方的に決めつけたり…

次々と流れていく情報を効率よく処理することが求められる今の世の中では,自身について振り返ったり,誰かと一緒に考えることをないがしろにししてしまうかもしれません.夜が長くなるこれからの季節,スマホから手を離し,ちょっと立ち止まって,誰かと対話しながら自身の輪郭を掴んでみる,そんな時間をぜひ作ってみてはいかがでしょう?



島根あさひ社会復帰促進センターで取り組まれている「TCプログラム」の成果はこちらを是非

毛利 真弓・藤岡 淳子(2018). 刑務所内治療共同体の再入所低下効果 ~傾向スコアによる交絡調整を用いた検証~. 犯罪心理学研究, 56(1), pp.29-46. 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjcp/56/1/56_560103/_pdf/-char/ja