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【心コミ・リレーエッセイ 2022年度 第31回:「コミュニケーションの力」(大島寿美子/教授 専門:コミュニケーション学(科学、医学、ケア、ジャーナリズム)/グループアプローチ)】

2022/12/16

 現在の心コミのパンフレットの標語は”Change the world through communication”です。私も「人と社会を変容させるコミュニケーション」に関心があり、研究をする中でもコミュニケーションの力を実感しています。今日はここ数年関心を寄せてきた「ユマニチュード」というコミュニケーション技法について紹介したいと思います。

ユマニチュードは、フランスで考案された技法で、日本に導入されて以来、NHKなどのメディアで繰り返し紹介され、大きな反響を呼んできました。主に使われているのはケアのフィールドで、コミュニケーションを取るのが難しい人とも関係性を築ける技法として知られています。特に驚かれるのがコミュニケーションが困難な認知症の人との関わりです。様子があっという間に変わることから魔法のようだと驚かれることもありますが、魔法ではなく技術です。

詳しくは日本ユマニチュード学会のホームページを見て欲しいのですが、「ひととは何か」などの哲学、「見る」「話す」「触れる」「立つ」の「4つの柱」、コミュニケーションを一連の手順で行う「5つステップ」などから構成されています。

学んでみると、私たちが無意識に行っているコミュニケーションが相手にどんな影響を与えているか、見方、話し方、触れ方次第で相手との関係がどれほど大きく変わるかを教えてくれます。

「見る」「話す」「触れる」は日常の中で何気なく行っていることの多いコミュニケーションです。見るときは、正面から水平の目線で、話すときは穏やかにポジティブな言葉で、触れるときは広い面積で優しく。専門的に勉強するには研修を受けることが必要ですが、本やビデオで学び、少し意識するだけでも活かせますので試してみてください。


2019年に刊行したユマニチュードに関する本

「「絆」を築くケア技法 ユマニチュード: 人のケアから関係性のケアへ」


TBSの報道特集

新たな認知症ケア「ユマニチュード」とは