文化の継承・発展を経済学の課題として考える
文化経済学
文化への理解と感受性とを磨き、
芸術・スポーツが花開く潤いある社会への道を模索する
芸術・スポーツが花開く本当に豊かな社会を実現するにはどうすればいいのでしょうか。文化という人間ならではの営みが直面している現代的課題を通して、現代経済の本質に迫っていくのが、文化経済学です。民主主義社会に不可欠なジャーナリズムを支えることはできるか、という現代社会に突きつけられている課題も文化経済学のテーマです。
2015年度より道内で初めて開講されている「文化経済学」の講義では、芸術やスポーツをはじめとして、J-POP、伝統芸能、メディア・ジャーナリズム、文化財に至るまで多岐にわたる文化領域について考えます。同じ題材を、文楽・歌舞伎・宝塚歌劇でどのように扱っているかを見比べたりもして、喰わず嫌いになりがちな多様な芸術領域に親しむきっかけを得ることができるようにしています。そして、文化経済学を用いた文化現象の分析を通じて、文化と経済の関係の双方向性や芸術とスポーツの社会との関係における類似性を理解していきます。
文化経済学のゼミでは、文化経済学の問題意識を実感として共有できるよう、芸術・スポーツ振興の第一線で活躍しているかたのお話をうかがったり、演奏会の運営に携わることなどを通じて一流演奏家の息吹に触れる場を設けています。



パイプオルガンの中に入ってみた学生も。





- 小田島 さん
講義では、文化を通じて社会がどう変わってきたかということを考えます。経済学科で文化を学ぶのは意外でしたが、みんなが「見たい」「聞きたい」「欲しい」と思うことが消費につながるので、経済と結びついていると気づきました。1910年の初演で観客から大ブーイングを浴びたというストラヴィンスキーのバレエ「春の祭典」は、当時の歴史的背景を知った上で、当時の演出の復刻上演動画を鑑賞しました。文化には歴史があり、それらが継承されてきて、今があり、未来があるのだということを実感しました。この講義で学んでから、もともと好きだったJポップや劇団四季なども掘り下げて鑑賞できるようになりました。
ゼミでは、文化経済学をはじめとして経済学の文献を扱うほか、プロの演奏家のコンサートの裏方を手伝うという貴重な経験もしました。演奏家の方々と事前に打ち合わせをする中で、活動を続けていく上でNPOの仕組みが有効であることを学びました。