新聞で差を付けよう ─ 全国で注目されている北星経済学科の新聞活用プログラム
新聞を読むことの意義はわかっていながら、日々の暮らしで新聞から疎遠になりがちな昨今、むしろ、〈新聞で〉差を付けようというのが北星経済学科の新聞活用プログラムです。経済学を学ぶ上で社会への関心を深めておくことは必須ですし、学科全員が新聞閲読経験を持つことで、学科の学生全体が集団としてレベルアップし、ゼミをはじめとする授業での議論の質が向上するのみならず、日々の会話の話題も変わってきます。
北星経済学科のこの取り組みは、全国で注目されていて、新聞・テレビ等を通じてたびたび紹介されています。


新聞活用Ⅰ・新聞活用Ⅱ
北星経済学科の「新聞活用Ⅰ」「新聞活用Ⅱ」では、学科の1年生全員のもとに年間を通して日々の新聞を届け、その閲読を前提に授業を行います。基礎学力養成の意欲的な取り組みとして全国的に注目されている授業です。
1週間の各自の切り抜きシートを踏まえたグループディスカッションとそれを踏まえたレポート・発表が授業の核で、紙面解説や時事ワークシート小テスト実施、新聞記者によるゲスト講義などもおこなっています。新聞閲読習慣の形成、語彙・読解力の陶冶、時事問題への理解が進むほか、ディスカッションやスピーチの力も養われます。


- 遠藤 さん
読書は好きですが、新聞を読む習慣はなかったので、一日のタイムスケジュールにその時間を組み込むのは最初のうちは大変でした。でも、普段から家ではテレビでニュースを見ていたので、その延長で習慣化できるようになりました。新聞紙面にはさまざまな情報があるので、読み慣れていくとともに、世の中のことに広く関心をもてるようになりました。
わたしは、千歳に建設中だった半導体工場ラピダスについての記事を継続的に切り抜いていました。全国的に注目されているニュースですが、道内面でもよく採り上げられていたので、身近な問題として関心をもちました。1回だけではなく、続けて追っていくことで、ラピダスをとりまく状況や意見を立体的に知ることができました。
他の授業で、新聞で読んだことがある事象や言葉が出てくることもよくあり、新聞活用の授業が活きていると感じます。
上級新聞活用
2年次以上の後期に履修できる選択科目です。履修者には、「新聞活用」同様、日々の新聞が届けられます。社説を起点とする派生スクラップの作業を整理したスクラップメモを、互いに共有しながら議論します。また、派生スクラップの成果を踏まえ、社説の形式でのオリジナル論説の執筆にも挑戦します。意欲ある学生たち同士が刺激し合いながら、社会問題への知見を深めていきます。



- 坂本 さん
上級新聞活用では、社説を起点に関心をもったテーマの記事を追い続けて論点を整理し、最終的に自分で社説を書きます。自分は原発関連の記事に注目しました。当時は、ちょうどCOP21(国連気候変動枠組条約締約国会議)が開催されていて、再生可能エネルギーも話題に上がっていました。また、総選挙もあり、原発の推進も争点のひとつとなっていました。紙面での切り口は多岐にわたっていましたが、わたしは、原発の危険性を直視できているのかということにフォーカスして整理していきました。さらに、朝日新聞の方から原発問題の背景を教えていただき、報道されていることと関連づけて考えることができました。本物の新聞と同じ段組みと文字数でオリジナル社説を書く作業も勉強になりました。
他の授業参加者が追い続けているテーマの話を聞いたり、オリジナル社説を読み合わせたりする取り組みによって、一つの物事をいろいろな側面からとらえることができるようになったと思います。ひとつのニュースについて、さまざまな意見が出ることがあり、新聞を深く読み続けたい学生による授業ならではの刺激がありました。
メディアと社会
2年次以上の前期に履修できる選択科目。朝日新聞社との連携により2007年度から続いている講義です。
道内や全国で活躍する朝日新聞の現役記者を中心に毎週異なる講師を迎え、政治・経済・社会・文化・スポーツといった国内外の諸問題を取材の最前線の視点から語っていただくとともに、新聞・出版・広告といったメディア産業の現状についても学びます。また、HTB(北海道テレビ放送)からもアナウンサーやディレクターに出講いただいています。


- 末岡 さん
朝日新聞の記者やHTB(北海道テレビ)のアナウンサーやディレクターのかたが、毎回、講師としていらっしゃり、メディアに関わる仕事に携わるかたがたから、取材の最前線や番組制作現場の貴重なお話をうかがうことができました。
HTBのアナウンサーは、地震が起きたときなどの有事に対応するため、定型のアナウンス原稿を日々練習しているそうです。実際の緊急時にアナウンサーが冷静に伝えている姿を見たことがありますが、テレビの画面ではわからないところで準備をしているのだとわかりました。冤罪事件を取材していた記者のかたには、情報提供者をいかに守るかなど、警察発表に頼らない取材の大切さと難しさについて、実際にあったスリリングなお話をうかがいました。真実を明らかにしていくのがジャーナリズムの使命だという言葉が印象に残っています。
日々手にすることができる新聞の記事や何気なく見ているテレビのニュースや番組には多くの人が関わっていて、報道の背後にはたいへんな取材の積み重ねがあるということを知ることができました。
