主に「ソーシャルワーク(グループワーク)」と「こども家庭福祉」を研究対象としています。今回は、その中から児童養護施設の住環境について考えたことを報告します。

  私は教員になる前、東京にある児童養護施設「東京家庭学校」(創設者:留岡幸助)で約10年間児童指導員として働いていました。児童養護施設は「保護者のない児童、虐待されている児童など、環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護し、あわせて退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行うことを目的とする施設」(児童福祉法第41条)です。
  施設の居住環境は、施設の最低基準により、こども一人ひとりに応じた生活空間や成長発達を促す機能に様々な制約があり、その影響から、こどもが本来もっている力や日々生活していくことのできる力を育てるには十分とは言い難い状況があります。
 一方で、いまや保護者(親)が一人もいないこどもは少なく、ほとんどのこどもたちには保護者がいます。今後は、個々の状況に応じて、保護者と共にこどもたちの「育ち」に取り組んでいくことが大きな課題となっています。そのためには、施設環境の見直しが必要となりますが、建物構造を変えるということは短時間にできるものではありません。
  そこで、今後の児童養護施設がどのような建物構造であり、どのような住環境を整えればいいのかを共同研究で明らかにしました。この試論を踏まえて、デンマークの建築家、矢崎一彦氏に「東京フクロウハウス‐都市部住宅地における児童養護施設の建築的考察‐」をまとめていただきました。今回は矢崎氏の許可を得て、その内容の一部デザイン画像を掲載しています。
 今後は、児童養護施設がそこで生活しなければならない子どもたちにとって「最善」の住環境になるためにはどのような取り組みが必要なのか等の研究を進め、新たな視点に立脚した児童養護施設の住環境を提案していきたいと考えています。

次回の教員紹介は佐橋克彦先生です。8月上旬の更新予定です。
作成者:矢崎一彦(2020年)「東京フクロウハウス‐都市部住宅地における児童養護施設の建築的考察‐」より、矢崎氏の許可を得て掲載。