教育

講義「地域デザイン論」から一部紹介(岡田直人)

 1年生から履修できる学科専門教育科目に「地域デザイン論」があります。今回はその第9回「北海道各地の特産品がなぜそこで生まれたのか」から、講義の一部を紹介します。

 地域デザイン論では、地域がもっているストレングス(強みとなるものなら何でも)を活用して、地域を豊かにすることで、暮らしやすくすることを学びます。北海道では既にその強みを活かして、地域の特産品になっているものがたくさんあります。例えば、お菓子などのスイーツがそうです。旅行等で訪れた先で、なぜこんなところに、お菓子メーカーの本店が集中的にあるのか考えられたことはありますか? こんなところとは、例えば、帯広と砂川です。帯広には、北海道土産として新千歳空港などの売店で売られている有名なお菓子メーカーがたくさんあります。砂川には、「すながわスイートロード」があり、19軒ほどの菓子店やカフェが点在しています。なぜ帯広と砂川に、これらのお菓子メーカーやお店がたくさんあるのでしょうか? 実はこの2カ所は、まったく異なる理由によりお菓子で有名になった地域なのです。

 帯広市など十勝地方は、てんさい(甜菜・ビート)、小麦、小豆、生乳で北海道のみならず全国の主要産地となっています。てんさいとは、砂糖大根とも呼ばれ、砂糖の原料です。これらのものを使って作られたものが和菓子や洋菓子なのです。すぐに、あのメーカーだと思い浮かびますよね。帯広は、原料の生産地に近いことがお菓子メーカーが多い理由となります。

 一方で砂川はどうでしょうか? 砂川市は空知地方にありますが、お米の生産では有名ですが、十勝地方のようにお菓子の原料を主には作っていません。では、なぜ菓子店などがたくさんあるのでしょうか? その理由は、空知地方に関係しています。空知地方は、かつて石狩炭田として、北海道では群を抜いて石炭が採掘されたところでした。砂川市には炭鉱はないのですが、近郊の産炭地の坑内作業員が、砂川市に日用雑貨・食料品の購入や飲食で出てきた折に、家族への土産や厳しい労働の疲れを癒やすため甘いお菓子が重宝されたことに、菓子産業が発展した理由がありました*。

 その土地でたくさん手に入る原料を使った帯広、かつて産炭地として日本のエネルギー供給を支えた労働者に求めれた砂川。このように、まったく異なる理由で、帯広と砂川が現在もお菓子の特産地となっているのです。

 帯広では、豚丼も有名ですよね。美唄と室蘭はやきとりが有名です。これらのソウルフードが、なぜ帯広・美唄・室蘭にあるのかも、地域デザイン論では取り上げます。もし興味がわいたら、その理由を考えてみてください。そして、その答え合わせを、この講義を受けて、してみてください。お待ちしております。

社会福祉学科 教授 岡田直人

*出典:古屋麻衣子(2013)「お菓子で街のイメージアップ目指す-すながわスイートロード協議会-」『地域づくり』一般財団法人地域活性化センター

https://www.jcrd.jp/publications/chiikidukuri_2013_04_286.pdf

私が作った50人分の子ども食堂「あかね食堂」(札幌市北区屯田)の具沢山のポークカレー




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