教育

大学におけるゼミナールについて(安部雅仁)

 一般に大学の講義は、大きく教養科目と専門科目に分かれます。今回は、後者の中でもゼミナール(以下、ゼミ)について紹介します。多くの大学のウェブサイト等を見てみると、学部・学科の目的、講義の種類と講義概要、就職の動向等が紹介されますが、ゼミの活動も取り上げられています。

ゼミ教室の例(本学webサイトより転載)


(1)ゼミって何だろう?
 高校では1クラス40人前後の講義かと思いますが、大学では30~100人(多い時は200人)の学生が大きな教室で講義を受け、学生はこれを聞いて理解を深めることになります。大学に入ったのに、教員の話を100分(本学では、2025年4月より100分講義になりました)聞くだけの授業は退屈で、また集中力の維持が難しいかもしれません。
 そこで、大人数の講義の他に、10~15人の少人数教室でゼミが行われます。ゼミでは、学部・学科の専門分野をより深く学ぶだけでなく、学生(ゼミ生)が関心のあるテーマについて調べ、レポートにまとめたことを教員や他のゼミ生の前で発表をしたり、議論をしたりする双方向型の授業を行います(高校でのアクティブラーニングや探究学習に近い講義です)。

(2)ゼミは具体的に何をするのだろう?
 大学入学後の最初は大人数の授業が多いですが、学年が上がっていくと、主に3年生以降、特定の教員のもとで専門的な研究を進めることになります。たとえば、本学の社会福祉学部・社会福祉学科には、児童福祉、高齢者福祉、障がい者福祉、社会福祉の理論、福祉政策、公的扶助、地域福祉等の各分野を研究する教員がいます(詳しくは、学科のウェブサイト「https://www.hokusei.ac.jp/social-welfare/」を参考にしてください)。
 一例として、筆者のゼミ(安部ゼミ)では社会保障、福祉財政、医療経済に関心がある学生(11~14名)が所属して、各人がレポートの作成と報告・質疑応答をします。ゼミ生の主なテーマを紹介すると、次のようになります。
 ① 社会保障の基本理念と生成過程―国際比較を踏まえながら
 ② 福祉財政の実態と今後の財源調達方法
 ③ 医療制度の維持・安定化における経済問題と今後の対応
 ④ 高齢者の住生活環境の整備―在宅介護の維持・向上に向けて
 ⑤ 少子高齢社会における年金制度の持続可能性

 3年のゼミではこれらの基礎をしっかり学び、4年のゼミで論文等としてまとめることになります。また、このような活動の中で、各ゼミ生は資格取得や就活の準備を進めることになります。就活について、「私は北星学園大学社会福祉学部・社会福祉学科で〇〇〇の研究をして〇〇〇の論文を作成しました」となることが、就活(特に面接対策)の強みにもなります。

小樽市朝里川温泉での3年ゼミキャンプ(筆者撮影)


 この他に、ゼミの目的の一つは、ゼミ生同士、ゼミ生と教員の親睦により、より良い人間関係を築くことにあります。一例として、本学には「キラリ」という施設があり、タコ焼き・お好み焼きをみんなで作り、食べながら交流することがあります。また、夏休みや春休みを利用して、ゼミキャンプや温泉でゼミ合宿をすることもあります。
 本学の教員は、講義を通した勉強、資格取得だけではなく、ゼミを通してみなさまとの専門的な学びや交流により、充実した4年間を提供したいと考えています。

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