サムライ対談
本学科出身の池田弁護士と、同じく弁護士である萩原教授の2人の士業(「士」は「武士」の「士」。弁護士、公認会計士など「士」のつく業務を「サムライ業」と呼びます。)が対談しました。
- 萩原
- 池田さんは札幌で弁護士としてお仕事をされ、6年前に室蘭に事務所を開設されました。今、具体的にどのようなお仕事をされていますか。
- 池田
- 離婚、交通事故、相続、借金問題など個人の方の身近な相談案件や、地域の企業からの相談案件が中心です。また、地域司法対策という仕事もしています。
- 萩原
- それはどのようなことをするのですか。
- 池田
- ひとつ挙げると、弁護士がいない地域に出向いて定期的に法律相談会を開催しています。私が担当する地域では、洞爺湖町、壮瞥町、豊浦町などでおこなっていますが、法律相談に対する一定の需要があります。
- 萩原
- 私が弁護士となったのは約30年前で、東京の事務所におりました。そのころは、いわゆるバブル経済が崩壊し、その後の失われた30年へと続く不況が始まっていました。バブルを前提に株式投資や不動産開発を行っていた人たちが行き詰まり、あちこちで訴訟が起きて、私も多くの訴訟案件を担当しました。
- 池田
- 飲食業や観光業など、コロナの時期に融資を受けた方の返済が、今始まっています。しかし、景気が回復しない中で苦境に陥るケースもあり、私もご相談を受けてその対応にあたっています。また、高齢化社会の進展により、相続に関する案件も増えている印象です。
- 萩原
- 相続の場合には、やはり資産があると揉めるので、東京では、お医者さんの相続案件などをやりましたが、こちらはどうですか。
- 池田
- 当地では、鉄鋼業が盛んなまちとして、関連する大企業やたくさんの中小企業があるので、企業を経営されている方や、他方で堅実に生活されてきた労働者などの方の案件があります。後継者への会社の引き継ぎを考えている経営者から相談を受けることもあります。
- 萩原
- なるほど
- 池田
- また、誰も管理していない空き家の増加が社会問題となっており、私も自治体の空き家対策審議会の会長を務めています。
- 萩原
- 空き家が増えているのは、所有者がいなくなり、家族も遠方にいて連絡がつかないといった理由からですか。
- 池田
- それに加え、不動産の資産価値が低いことから、所有者が亡くなってもだれも相続せず、放棄してしまうことも要因の一つと思われます。
- 萩原
- ところで、最近の刑事事件の状況はどうですか。
- 池田
- 当地では刑事事件の数自体は減っていますが、国選弁護を依頼されることもあります。最近、室蘭拘置支所が受け入れを停止し、被疑者は起訴されると基本的に札幌拘置支所に収容されるようになりました。そのため、面会(接見)するために札幌まで行かなければならず、弁護活動に支障が生じかねません。これは重要な問題なので、我々も弁護士会として声を上げているところです。
- 萩原
- 弁護士の仕事は決して派手なものではなく、地道にやらなければいけないことが多いですね。今日は、大変興味深いお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

就職レポート
過去5年間の卒業生就職率推移
2020年 | 96.9% |
---|---|
2021年 | 94.5% |
2022年 | 92.9% |
2023年 | 95.3% |
2024年 | 97.0% |
経済法学科へ入学してくる学生たちの中には将来、公務員(国家公務員、札幌市役所、北海道庁、各地方自治体の職員、警察官など)になりたいという方が多くいます。その受験対策として、受験科目に対応する多数の専門科目が開講されています。
また、学内では受験者向けの公務員講座も開講されています。こうして、学科では学生たちの希望が叶うようサポートをしています。
- 就職率は下記の計算によって出された数値です。
- 本学では基本的にフルタイムの正規雇用者のみを就職決定者としてカウントしています。
- 各卒業年の5月1日時点の就職率
就職状況 (2024年5月1日現在)

主な就職先 ※順不同・敬称略
- 国税専門官(札幌国税局)
- 裁判所事務官(釧路地方裁判所)
- 国家公務員(一般職:北海道開発局、東京航空局、旭川地方法務局、函館税関)
- 独立行政法人国立病院機構 北海道東北グループ
- 国立大学法人等職員(北海道大学・旭川医科大学)
- 北海道職員(一般行政・警察行政)
- 北海道警察官
- 札幌市職員(行政コース・消防吏員)
- 道内各市町村職員
- 東京都特別区職員
- 公立学校教員(北海道中学社会・東京都小学校)
- 北海道国民健康保険団体連合会
- 株式会社静岡銀行
- 株式会社北洋銀行
- 株式会社北海道銀行
- 日本生命保険相互会社
- あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
- 富国生命保険相互会社
- 北海道信用漁業協同組合連合会
- 株式会社かんぽ生命保険
- 株式会社札幌鑑定
- 株式会社カチタス
- 株式会社常口アトム
- セントラルリーシングシステム株式会社
- 株式会社柳月
- アイリスオーヤマ株式会社
- 株式会社アレフ
- 株式会社はなまる
- 青山商事株式会社
- 株式会社ツルハ
- 株式会社モロオ
- アイングループ
- コーセー化粧品販売株式会社
- リコージャパン株式会社
- トヨタL&F札幌株式会社
- 株式会社ビックカメラ
- 株式会社ヨドバシカメラ
- 日立建機日本株式会社
- JKホールディングス株式会社
- 三菱電機住環境システムズ株式会社
- ブリヂストンリテールジャパン株式会社
- イオン北海道株式会社
- 生活協同組合コープさっぽろ
- 札幌トヨタ自動車株式会社
- 北海道日産自動車株式会社
- 北海道空港株式会社
- 北海道旅客鉄道株式会社
- 苫小牧埠頭株式会社
- 株式会社日本システムコンサルタント
- HISホールディングス株式会社
- 日本郵便株式会社
- 株式会社星野リゾート・マネジメント
ほか
※就職先については過去3年間のデータより一部抜粋をしています。
卒業生インタビュー

2024年3月卒業
宍戸 愛美さん
- 旭川市役所
- 北海道旭川永嶺高校出身
- 現在のお仕事内容について教えてください
-
ケースワーカーとして、生活保護受給者の支援を担当しています。利用者の悩みや困りごとを丁寧に聞き、必要に応じて医療機関や介護施設、障害サービスなどの機関と結びつけて、自立して質の良い生活が実現できるようにしていく仕事です。幅広い知識が求められ、覚えることも多くありますが、就労して生活保護が不要になった方が喜んでいる姿を見たとき、私も心から嬉しく、地元に貢献できていることを実感しました。
現在は、心理学・カウンセリングの技法である動機づけ面接(MI)を学び、利用者の内的動機を引き出して行動変化につなげられるよう取り組んでいます。一人ひとりに寄り添い、より深いケースワークを行っていきたいです。
- 大学時代の取組みが現在のお仕事にどうつながっていますか?
-
高校生のとき、裁判を傍聴する機会があり、法律に興味を持ちました。大学では行政法の授業で街づくりや行政に関わる仕組みを学び、さらにオウム真理教事件などニュースで見た実際の判例を読むことで、法律の現実的な活用に触れることができ、印象深い経験となりました。
現在の仕事は生活保護法に基づいて行うもので、大学で民法を専攻し、法律用語に慣れていたことが大いに役立っています。
就職活動の際、担当の先生から「幅広い分野でさまざまな経験ができる市役所も選択肢の一つ」とアドバイスをいただき、人と接することが好きな自分に合った道だと感じ、この仕事を選んで良かったと思っています。

2024年3月卒業
佐藤 萌乃香さん
- 北洋銀行 平岸中央支店
- 北海道旭川永嶺高校出身
- 現在のお仕事内容について教えてください
-
わたしは地元に貢献できる仕事がしたいと思い、お客さまの課題解決に取り組み北海道を盛り上げていける金融機関への就職を希望しました。
現在、法人のお客さまから資金のご相談を受ける融資課に所属しておりますが、最近は物価高騰に加えて人手不足という課題を抱えている企業様がとても多いと感じています。そのような課題を解決するための融資案件が、稟議から決裁までスムーズに進んだときはホッとすると共にやりがいを感じます。
今は先輩からのアドバイス、ノウハウやスキルを吸収することが多いですが、1日でも早くお客さまの課題に対してソリューションを提供するという一連の流れを一人で担えるようになりたいです。
- 大学時代の取組みが現在のお仕事にどうつながっていますか?
-
入学時はちょうどコロナ禍だったので2年生まではオンライン授業が中心でした。大学時代の一番濃密な時期に通学できなかった悔しさはありますが、それも良い経験だったのかもしれません。
所属していた判例研究のゼミでは、主に民法を研究テーマとしておりました。過去の判例を勉強して、実際の判決についてまとめた内容を発表しました。専門用語を使った難しい表現が多く、読み込むのは大変でしたが、もともと裁判のニュースには関心があったので法律に対する理解が深まりました。
民法では不動産の知識も学んだことから、担保などは今の仕事につながっています。金融機関では多くの法律知識が必要なので、経済法学科で学べてよかったと思います。

2024年3月卒業
林 泰成さん
- 東京都港区役所
- 市立札幌清田高校出身
- 現在のお仕事内容について教えてください。
- 港区役所の本庁舎に勤務しており、保健福祉支援国保年金課高齢者医療係に配属され、高齢者の保健証、限度額証の発行業務を担当しています。また、75歳以上になる方をチェックして後期高齢者用の保健証に切り替える作業も行っています。今年度は保健証をマイナンバーカードに統合することに伴う業務も担当します。4年で庁内の別の部署に異動する見込みです。
- 大学時代の取組みが現在の仕事にどうつながっていますか?
- 大学時代は、ゼミ活動やコンビニのアルバイトを一生懸命やりました。もともと公務員志望であったため、2年生から公務員講座を受講して勉強しました。結果的に、東京都特別区(23区)のほか、国交省北海道開発局、厚労省労働局、さらには北海道内の国立大学法人から内定をいただきましたが、東京で働きたいという思いから特別区を選び、港区、新宿区、渋谷区に希望を出していたところ、港区に決定しました。入庁したばかりで具体的な抱負といったものはまだないのですが、頑張りたいです。

2024年3月卒業
坂口 颯さん
- 北海道信用漁業協同組合連合会
- 北海学園札幌高校出身
- 現在のお仕事内容について教えてください。
- 北海道信用漁業協同組合連合会(信漁連)に総合職として採用され、現在、北見支店(紋別市)で勤務しています。信漁連は北海道の漁協系統の金融機関として、漁業者の事業活動を支えています。まだ入ったばかりで、札幌での研修、管内漁協10か所へのご挨拶周りを終えたところです。仕事は多岐にわたるので、頑張って覚えていきたいです。
- 大学時代の取組みが現在の仕事にどうつながっていますか?
- 2年生まではコロナ禍で大学に行く機会があまりなく、特に意識して取り組んだものはありませんでした。ただ、飲食店のアルバイトで言葉遣いや礼儀を覚えたと思います。3年からは対面授業が基本となり、私もゼミに参加し、消費者法などを勉強しました。そこで友人も作ることができて、彼らと卒業旅行にも行きました。私は親が漁業関係の仕事をしている関係で、信漁連の名前を聞いていたこともあり、就職先に選びました。

2020年3月卒業
栁谷 百香さん
- 株式会社ユナイテッドアローズ
- 北海道札幌月寒高校出身
- 現在のお仕事内容について教えてください。
- セールスパーソン(販売員)として働いております。1年目は、green label relaxingというブランド配属でしたが、2年目に念願のUNITED ARROWS総合店の札幌店に異動し、現在はBEAUTY & YOUTHというブランドの東京(丸の内)のお店に移っています。店頭でお客様のお話を伺ってニーズに合うものをご提供するのは勿論ですが、DX活動(オンラインストアやインスタグラムへの掲載、LINE接客など)にも携わっています。インスタグラムでは商品を自分で着てみて載せたりします。以前はお店のアカウントだけに載せていましたが、現在では個人アカウントにも載せています。最近、海外の方に対応をする事がとても増え、英語でお話をする機会が多くなっています。
- 大学時代の取組みが現在の仕事にどうつながっていますか?
- お客様やスタッフに、自分の意見を伝えること、コミュニケーションをとることに、ゼミでの学習が役立っております。また店舗運営はチームプレイなので、学生時代の軽音楽部でのバンド活動が、チームで協力し合い、連携をとることに役立っております。

2023年3月卒業
和泉田 隼佑さん
- 国立大学法人旭川医科大学
- 北海道旭川永嶺高校出身
- 現在のお仕事内容について教えてください
- 事務局の会計課契約室に配属され、附属病院の方の備品調達、入院患者の給食の検収等の業務に当たっています(薬の調達は除きます)。付属病院は、高度医療を提供する特定機能病院という性格上規模が大きく、覚えきれないくらい多くの部署や業務があります。4 月には道内の国立大学法人に新規採用された職員が北海道大学に集い研修を受けます。また、文部科学省や他大学との人事交流があり、将来的にはそういったところでの勤務もしてみたいと思っています。
- 大学時代の取組みが現在のお仕事にどうつながっていますか?
- 私は在学中から公務員になろうと思い、2年の時から公務員講座やキャリアサポーター等を利用してきました。結果的に、旭川医大のほか北海道庁といくつかの市役所から内定をもらいましたが、地元・旭川の旭川医大に就職を決めました。大学時代にサークルや飲食店でのアルバイトなどいろいろな経験をしたことが、就職活動に役立ったと思います。

2023年3月卒業
三浦 正也さん
- (一財)静岡経済研究所 研究員
- 北星学園大学附属高校出身
- 現在のお仕事内容について教えてください
- 静岡銀行から出向し、静岡経済研究所に勤務しています。イベントの経済効果の算出や、県内企業の課題をテーマにした調査・研究を行っています。
- 銀行員時代、現場の変化の速さや、変革に充てる時間の少なさを痛感しました。理解しやすく実態に即した情報の価値を強く感じ、現場意識の研究や、具体的な情報発信を心がけています。
- 大学時代の取組みが現在のお仕事にどうつながっていますか?
- 学生時代に得た「学びの習慣」は、今も役立っています。困難に直面するたび、自ら資料を探して読み込み、ヒントを得る。その姿勢が、今も活きています。社会に出てからは、学生時代には見えなかったチャンスに気がつく場面が沢山ありました。道外就職は、そうした可能性に気づくきっかけになっています。学生の皆さんにも、地道な努力と挑戦を重ねながら、可能性を広げていって欲しいです。