9月29日(火)、北星学園大学C館講堂(50周年記念ホール)において、第1回 国際学部開設記念特別講演を開催しました。
講師には、オーストラリア・シドニー大学 准教授のDr.Victoria Rawlings氏を迎え、「Norms, Boundaries, and Power ― Exploring Vectors of Inclusion and Diversity ―(規範・境界・権力 ― 社会構造から考えるインクルージョンとダイバーシティ)」をテーマにご講演いただきました。

シドニー大学はQS世界大学ランキング2027で世界28位に位置しており、Rawlings氏は、すべての児童・生徒にとって安全で包摂的な学校環境の実現を目指し、ジェンダーと教育を専門に研究・実践を行っています。教育現場の変革につながるイノベーションを生み出す研究者として国際的に高く評価されており、オーストラリア連邦政府や州政府から研究助成を受けるなど、幅広く国内外で研究活動を展開しています。

当日は、国際学部の学生をはじめ、他学部の学生、卒業生、社会人などが参加し、すべて英語で講演が行われました。Rawlings氏が参加者に問いを投げかけ、学生たちがその場で考え、意見を返すなど、講演は双方向のやり取りを交えながら進められました。「公平とは何か」「身の回りにある『当たり前』はどのようにつくられているのか」といった身近なテーマから社会の仕組みについて考える場面も多く、参加者が自ら考えながら学ぶ時間となりました。

前半では、社会的な立場や属性によって、本人の努力とは関係なく得られる利益である「特権(Privilege)」を取り上げ、それが自分自身にとっては気づきにくいものであることが紹介されました。また、全員を同じように扱う「平等(Equality)」と、それぞれの状況に応じて必要な支援を行う「公平(Equity)」、さらに不平等を生み出す制度的な障壁そのものを取り除くことの違いについて、具体例を通して理解を深めました。

後半では、おもちゃとジェンダーを題材に、私たちが日常生活の中で無意識に身につけている「当たり前」について考えました。子どもの頃に遊んだおもちゃや、商品に使われる色・言葉など身近な例から、社会の中でジェンダーに関する規範や期待される行動がどのように形成されていくのかを考えました。

講演を通して、社会・文化・制度の仕組みによって形づくられる「当たり前」が、ある人には有利に、別の人には不利に働くこと、そしてより公平で包摂的な社会の実現に向けて行動するためには、自分自身の無意識な立場や身の回りの規範を問い直す視点が重要であることが伝えられました。参加者は、それぞれの経験を出発点に、多様な視点に触れ、社会の仕組みを問い直し、インクルージョンとダイバーシティについて考える機会となりました。

今回の開学記念講演は、Rawlings氏と本学との約10年にわたる交流を背景に始動した「Project Vic 2026」の中心的な取り組みとして開催されました。講演の企画・運営には、DGi1年生と上級生・卒業生メンターが協働して取り組みました。メンターはこれまでの経験を生かして準備や運営を支援し、1年生が自ら考え、挑戦するプロセスを後押ししました。
また、約1週間の滞在期間中には、本講演に加え、Rawlings氏のNoMaps GLOBALへの登壇や、卒業生・社会人とDGi生をつなぐネットワーキングイベントをHOKKAIDO STARTUP HUB「HooK」で開催しました。学生たちはこれらの企画・運営にも主体的に関わり、世代や立場を越えた交流の場づくりに取り組みました。これまでRawlings氏と培われてきた関係を基盤に、学びを受け取った人が次の世代の学びを支える循環が、学内外へと広がる機会となりました。
第2回は、青山学院大学地球社会共生学部 学部長・教授の松永エリック・匡史氏を講師に迎え、10月27日に開催予定です。
詳細は後日、本学Webサイトでお知らせします。