障害者福祉論などを担当します田中です。
 私は、これまで戦後の日本とイギリスの障害者運動の軌跡を辿る研究を続けてきました。障害を持つ当事者たちの社会運動において、どのような活動が展開され、そこにどのような思想が培われてきたのか、また、歴史も文化も制度も異なる国々において、障害者運動はどのような類似性を持つのか、等の点に焦点を当ててきました。
 その結果、とても興味深いことが見えてきました。それは、1960年代から1970年代にかけて日本とイギリスにおいて組織される現代のラディカルな障害者運動が、交流することのなかった当時において(現代のようにインターネットもなく、当時は両国の障害者たちは海外旅行をするゆとりもありませんでした)、とてもよく似た思想を紡ぎ出したという点です。私はこの点を自著(田中耕一郎『障害者運動と価値形成』現代書館.2005年)の中で、次のように考察しました。
 つまり、たとえ異なった国々に住んでいる障害者たちであっても、彼ら/彼女らは<健常者>が多数派を占める社会に生きているという共通性を持っています。だから、日本とイギリスの障害者たちは、常に同質の問題群に対峙し、そこに類似の思想を形成したのではないいか、と。
 このように、障害者運動の研究を最初にまとめた時点では、日英の障害者運動の類似性に着目していたのですが、最近では、多くの国々(特にグローバル·サウスと言われる国々)に住む障害者たちの社会運動とその思想形成の独自性(ユニークさ)にも関心を持っています。

 次回の教員紹介は中村和彦先生です。9月初旬頃を予定しています。