コラム

DepartmenofSocialWork

COLUMN

「障害児通所支援」について思うこと
教授 西田 充潔

2016.04.15

 私は、福祉臨床学科の中で、また「社会福祉士」の受験資格に必要な実習科目において、「障害児」の領域を担当させてもらっています。「障害児」は、「障害者」であり、また「児童」でもあるという意味で、社会的には"二重"の支援が必要な対象とも考えられます。「障害者」と「児童」とどちらに重点をおくかという捉え方もあるかもしれませんが、また一方では「障害児」には特有の支援ニーズがあるという考え方もあり、そうした考え方の違いやその変遷により、社会の対応はめまぐるしく変わってきました。
 昨年11月のこととなりますが、私はある団体が主催する研修会のお手伝いをさせて頂きました。その団体とは、「札幌地区児童発達支援連絡協議会」(「札児連」)というところです。この団体には、札幌市やその近郊において「障害児通所支援」として事業を展開している、180以上の「児童発達支援事業所」や「放課後等デイサービス事業所」などが加盟しています。これらの事業所には、福祉臨床学科の卒業生もたくさん就職しています。昨年の研修大会は、それら事業所の職員400名近くが参加され、北星学園大学を会場として開催されました。私は、分科会の講師も担当させて頂きましたが、有難いことに、その分科会では100名以上の方が受講して下さいました。私からは、子どもの発達や障害について、基礎的な概念や用語の解説、また日々の事業(「療育」と呼ばれる専門的な働きかけです)において留意する必要のある事柄などをお話させて頂きました。私自身も、こうした機会によって、障害児への福祉的支援の最前線で奮闘しておられる多くの専門職の方々とお会いでき、また意見交換をさせて頂くことができますので、大変に勉強になり、有難く思っています。今年度の研修大会も本学を会場として開催される予定で、私は今から楽しみにしています。
 冒頭で述べた、「障害児」の支援ニーズに対する考え方の変遷とともに、札幌でもこうした「事業所」の数が、この数年間で、正に"倍増"してきました。それだけ地域の中で、障害児が支援を利用しやすくなり、また生活に密着したサービスを受けやすくなってきています。しかし同時に、こうした事業所が十分な事業を展開できるための社会の認識や、財源なども含めた社会の側の準備状態が大きく問われています。
 この4月から、日本の法律である通称「障害者差別解消法」が施行されました。この社会で「障害児」への支援を如何にして更に充実させていくか、学生たちと一緒にこれからも考えていきたいと思います。

参考:「札児連」ホームページ

2015年度研修大会「分科会1」の様子。後半のグループワークの風景です。学科の卒業生も来ていました。

本学4月の風景~3階研究室の窓から。新年度が始まりました。桜は未だですね。

一覧へ戻る