コラム

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大学のリモート(非対面)授業と学生の“印象”
教授 西田 充潔

2021.06.16

 昨年来、新型コロナウイルス感染症が蔓延し、今も緊急事態宣言のもとで、日々、不安と戦いながら生活をしています。ポストコロナと表現されるように、このウイルスとの共存がどのように図られるのか、その後を見据えた対策や議論も行われています。さて、そのような中、大学の授業環境や私たち教職員の働き方も、一昨年度までと今とでは一変しました。オンライン会議システムを使い、パソコンのモニタとカメラに向かって、リモート(非対面)授業や会議を毎日のように行うという経験は、これまでは皆無に等しいものでした。座っている時間が長いと腰やお尻が痛くなるので、立ってパソコンを操作できるようにするなど、新型コロナウイルスによる直接の影響ではないことからも自分の身を守る工夫が必要とされています。そのような環境にありながらも、昨年度の秋、また今年度の春先といった感染症が少し落ち着いていた時期には、学生たちが教室に参集する「対面授業」も行ってきました。
 そこで改めて感じたことがあります。パソコンのモニタ・カメラ越しに見え・感じられていた“学生の姿”(印象)と、教室で直に会って見え・感じられるそれとが、互いに異なる場合があるということです。単純に、どちらの“姿”(印象)が良い・悪いということではありません。例えば、カメラ越しでは、授業中の発言などが自信の無さそうに感じられた学生も、教室では余裕と自信を持っているように感じられたり、その逆であることもあります。もちろん、単にカメラ越しか否かかといったことのみならず、リモートでは自宅で“一人で”授業を受けていることや、教員や他学生と顔(や上半身)のみを“向き合わせて”いることなど、その他の様々な要因があるものと思います。
 学生と教員とのコミュニケーションは、言うまでもなく人と人とのコミュニケーションです。物理的にどのような“向き合い”をし、目に見える情報、さらには顔以外の情報も如何に“感じ”られるかが、他者の“印象”に影響するものであることを、日々の授業の中で改めて実感しています。「直に会って話をする」ことの功罪が、そこにはあるのかもしれませんね。

研究室で実施する授業の様子です。パソコンの複数モニタ上に、画面共有で提示する授業資料を開き、手元の文献も確認しながら、モニタ上の学生たちの“顔”を見て、カメラとマイクに話しかけます。黒い台ごと上下するので、立って授業や会議をすることもあります。

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