ゼミ・教員

DepartmenofSocialWork

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もっと掘り下げた研究!

教員&ゼミ紹介

教員は、それぞれのテーマに沿った多様な研究と社会活動を展開しています。
学生は、3年生からいずれかの教員のゼミに参加し、
10~15名程度の少人数クラスで、ゼミ活動や卒業論文に取り組みます。

栗山 隆教授

ゼミ紹介
3年ゼミは、子ども家庭福祉領域やソーシャルワーク実践に興味がある学生を中心に、学生の主体的な参加・活動によってゼミを運営していきます。前期は、メンバー同士でグループディスカッションを行い、その年度に取り組んでみたいと思う活動内容を決めます。過去の活動例としては、市内の児童養護施設に行き、スポーツ等を中心としたグループ活動をしたり、児童相談所の職員と虐待児童の事例検討会を行ったり、福祉的な課題がある親子の地域料理教室を想定して実際に料理を作ってみたりと、年度によってその取り組み内容は実にユニークです。いずれの活動も子ども家庭福祉とソーシャルワークを考える一つの手がかりにすぎません。日々の生活課題を念頭に一連の展開過程(プロセス)を踏むことで質の高いソーシャルワーカーになるための基礎を身につけてほしいものです。前期の最後は、実践を理論化するための取り組みとしてレポートを作成し、3年ゼミ合宿や評価会等を行うことで後期や次年度に繋げていきます。また、後期は前期の活動を継続することと並行して、各自の興味・関心領域にあわせた卒業論文作成の初歩的な取組みを開始していきます。
4年ゼミは、本格的な卒業論文作成に向けて、文献収集の仕方からテーマ選定、執筆まで個別に指導します。また、卒論中間報告会や4年ゼミ合宿、レクリエーション等を通じ、文化的交流を深めていきます。
ゼミ教員である私は、皆さんのよきアドバイザーとして後方支援に努めます。

研究紹介子ども家庭福祉とソーシャルワーク

 子ども家庭福祉と地域共生社会のあり方をソーシャルワーク実践から学ぶことを研究テーマとしています。2018年まで親の虐待により死亡、またはそれに準ずる重篤な事項について検証し、今後の予防策や関係機関の対応のあり方等を北海道に提言する部会の委員を9年間務めていました。また現在は、子どもや障がい者、高齢者、その家族、関係者、及び地域住民とともに地域の活性化に寄与することを目的とした農福連携推進コーディネート、農福連携コーディネーター育成、地域活性化コンサルティング、マルシェ事業等による農福連携のあり方を探っています。

中村 和彦教授

ゼミ紹介
本ゼミには、医療ソーシャルワーカー(MSW)や精神保健ソーシャルワーカー(PSW)の仕事に関心をもっている学生が比較的多く集まってきます。 ゼミ活動では、メンバー間で切磋琢磨しながら、自らの目標達成を目指しつつ、互いに成長・変容していくことを大切にしています。そのために、教員としてアドバイスやサポートもしますが、ゼミメンバーが相談し合い、コンセンサスを得ながら、ゼミ合宿やコンパなどの企画も含め、主体的な活動となるよう取組んでいます。ひとりでは読みこなせない難しい本を読んで、意見を戦わせたり、施設の見学を実施したり、活動内容はさまざまです。
3年次から4年次にかけては、それぞれの関心から出発して、ソーシャルワークの目的や方法と結びつけながら、「ソーシャルワークとは何か」を実感として理解した上で、4年間の学びの集大成である「卒業論文」のテーマを決定していきます。そして、4年次には、ひとつの「作品」として完成するよう仕上げていきます。この作業過程は本当に苦しいものですが、学生は大いに成長するようです。やはりこの苦しい作業を支えてくれるのはゼミの仲間でしょう。
卒業後は、ソーシャルワークの臨床現場で活躍する人もいれば、民間企業に就職する人、大学院に進学する人など、さまざまですが、ソーシャルワークの視野や視点を理解して、社会における諸課題に対応できる人材として活躍できるようになることが大きな目標です。

研究紹介社会の「問題」を生活者主体の視点から考える

 ソーシャルワーク実践理論、精神保健ソーシャルワークが専門です。生活上の様々な課題を解決に導く専門的支援活動がソーシャルワークだとすれば、その基盤となる理論を考察すること、またメンタルヘルスの領域や精神に障害を抱えた人びとへのソーシャルワーク実践について学び、研究しています。特に数年前より、国の研究費も獲得しながら「Resilience レジリエンス」という考え方をベースに進めています。 日本社会福祉学会や日本精神保健福祉学会、日本ソーシャルワーク教育学校連盟等の全国組織の役員も積極的に引き受け、日々、努力しています。

西田 充潔教授

ゼミ紹介
本ゼミでは、障害のある子どもたちへの「支援」について、心理・教育・福祉の交わりの視点から考えていきたいと思っています。特に自閉症スペクトラムをはじめとする発達障害のある子どもたちへの幼児期から始まる療育が、学童期の教育へとどのように連続するのか、そして学校卒業後にはどのような生活へと連続していくのかを考えます。発達障害の心理的特性を捉え、それに応じた対応を考えることは大切です。しかし、必ずしも「心理的特性」から「生活」のあり様がすべて説明されるわけではありません。つまり“いま目の前にいる、この子を観る”ことを、その子が“昨日・今日・明日”と、どのように“生活を送るのかを観る”ことを大切にしていきたいと考えています。 子どもの振る舞いが、その子の「生活」の文脈からどのように理解されるか、そこにはどのような「特性」が考えられるのか、それをどのように捉えていくことで「教育」方法へと転換していけるのか、そしてそれでは足りないことをどのように「生活」の中で保障していくのか、このようなことを学生らとともに学習・討論をしながら考えています。発達障害のある子ども自身が「自分」を捉え、自分の「障害」を制御し、自分の「生活」を作っていくことができるようになるために、子ども期に周囲にいる他者は何ができるのか、少なくとも何をすべきなのかを学生自身が考えられるようになって欲しいと願っています。障害のある子どもたちは、現に、そして成長してからも、社会から“障と害”をつきつけられる可能性が少なくありません。そのことを、福祉と教育の専門家を目指す学生たちには、理解して欲しいと願っています。

研究紹介障害のある子どもへの支援を考える

 発達障害児の療育と心理教育的支援、福祉と学校との連携についての研究と関連した社会活動を行っています。札幌市近郊の障害児通所支援施設の多くが加盟する法人の顧問もしており、加盟事業所での研修会講師や市内の特別支援学校において外部専門家として研修・助言などの活動も行っています。
 ゼミでは、これらの施設や学校で、学生とともに見学実習をさせてもらい、障害児支援のあり方を現場からも考えていくことを大切にしています。

横山 穰教授

ゼミ紹介
ゼミの共通テーマは、「福祉における人権について考える」です。現代において、人権は重要なテーマとなっています。解決が困難とされる偏見・差別問題に向き合うにあたって、人権について正しく理解することは重要です。ゼミにおいては、各自が関心を持つ福祉に関するテーマを選択します。テーマは多岐にわたっていますが、各自が文献・資料の収集からはじめて、報告内容をレジュメにまとめて、口頭による個人研究報告をします。そして、報告者が設定した討論テーマについて全員が意見を述べ合い、報告内容についての関心と理解を一層高めていきます。ゼミ生は研究報告を通して考える力や、分析する力などを養うことができます。
このゼミでは、4年次の卒業研究(論文)を射程に入れて、3年次の後半からは、論文を書くことに慣れることを目標にしています。近年は、卒業論文を執筆する上で、得られた文献や資料をもとに考察をし、自分の考えを文章にまとめて論文の形にすることに苦労している学生が多く見受けられます。普段から、自分の考えを文章にしてまとめる経験を積んでほしいと思います。そして、時間を見つけては、本や雑誌や新聞など読むなど、活字に慣れ親しむことも重要です。文章を読んでは、自分の考えをまとめて文章化するという習慣を是非身につけて頂きたいと思います。

研究紹介偏見・差別を通して人権を考える

 福祉問題の根底には貧困と差別が関係していることがしばしばです。その代表的なものとしては、部落差別、水俣病差別、ハンセン病差別、在日コリアン差別、アイヌ差別、障害者差別等々があります。最近では、インターネット上における差別発言、ヘイトスピーチ、性的マイノリティー差別、女性差別、沖縄差別(写真は沖縄ハンセン病療養所)等が社会的に注目されるようになりました。こうした人権を侵害する差別問題に対していかに向き合い、差別の解消・解決を図るのかについて、当事者の視点から模索していくことが重要と考えます。

田中 耕一郎教授

ゼミ紹介
ゼミのテーマは大きく分けると二つあります。一つは、障害児・者が他の市民と同様に、地域社会で当たり前の市民生活をおくることを支える社会的支援について考えることです。このテーマは現在の障害児・者福祉や地域福祉に関わるテーマです。このテーマに取り組んでゆくためには、単に、障害児・者やその家族に既存のサービスをどのようにあてがうかという議論や、制度としての福祉サービスをどのようにデザインしていくかという議論にとどまらず、障害児・者にさまざまな生きづらさ(disability)をもたらす「社会のあり方」そのものを問い直す視点が必要だと考えています。
もう一つのテーマは、「障害」という観点から、歴史や文化、政治のあり方を考えることです。このテーマは障害学に関わるテーマです。障害者たちの社会運動(障害者運動)の歴史やそこで培われてきた反差別の思想、「障害」をめぐる国内外のさまざまな理論や実践を学びながら、「障害」の意味や「障害」をめぐる歴史や文化・政治について考えていきたいと思います。

研究紹介「障害」から考える

 私は障害者福祉や障害学という分野を専門にしており、これまで日本やイギリスの障害者運動の歴史と思想、重度の知的障害を持つ人たちを支えるケアの思想や方法について研究してきました。
 ゼミでは、障害を持つ人々やその家族が、他の市民と同様に、地域社会で一定のQOL(生活の質)が保障された市民生活をおくることを支えるための理念、思想、法律・制度、支援方法等について、文献講読やグループ討議を通して考え、〈障害〉と〈社会〉との関係を深く掘り下げていきます。

池田 雅子教授

ゼミ紹介
近年の社会福祉実践は、対象領域や法律による縦割の援助ではなく、生活者の直面する課題を全体的に捉える横割の援助が求められています。そのような実践を重視しているのが「地域を基盤としたソーシャルワーク」と言えます。そこでのアプローチは「個を地域で支える援助」と「個を地域で支える地域をつくる援助」とを並行して進める点に特徴があります。
ゼミの前半では、「地域を基盤としたソーシャルワーク」の基本的視点や援助過程を学習します。続いて地域アセスメントのポイントについてグループで検討し、その内容を踏まえて、相談援助実習を行う地域など、各自の関心地域についてのアセスメントを実際に体験します。さらに学生の関心領域に基づいて小グループを形成し、地域を基盤としたソーシャルワークの先進事例や論文を読み進め、討議を行います。
ゼミ後半では、前期に学習した理論と実習経験等の現場での取り組みとの照合を行い、デイレンマや関心事項などを報告し合い、問題意識を深めていきます。中盤からは卒業論文の作成に向けて、関心テーマに関する学術論文などの先行研究の検索と論文のまとめ作業を行います。できればゼミ合宿を通して、年度内に卒業論文の「研究計画書(第1作)」を作成します。今年度は、すでに卒業論文の作成に取り組んでいる4年生との交流を図ることで、研究テーマの決定や論文作成のイメージ形成を行う予定です。
ゼミの進め方は、小グループによる学習や演習、報告と全体討議を行います。ゼミ終了時には、地域を基盤としたソーシャルワークの理解と個人と地域のアセスメント力を身につけることを目標とします。さらに論文や事例を読みまとめる力や、他の講義や実習・ボランティア経験などを結び付け、思考を深める力を身につけることを期待します。

研究紹介地域を基盤とした支援

 私の主な研究テーマは2つあります。一つは学部時代に住民の福祉に対する関心や態度の研究に触れたことがきっかけで、地域福祉の推進方法をテーマとしています。もう一つは、大学に勤務してから社会福祉実習に深く関わり、専門職養成教育の研究をテーマとしています。どちらも福祉の「担い手」という共通点があります。ゼミでは、地域福祉を中心に新聞記事や実践報告、論文を読み、各自の関心テーマを深めます。そこから卒業論文の作成を進めていきます。ゼミを通して視野を広げ、仲間を尊重し合うことも大事にしています。

永井 順子教授

ゼミ紹介
本ゼミでは、精神障害(発達障害を含む)のある人の地域生活支援について主に学んでいきます。日本の精神科医療は入院中心に行われてきた歴史があり、精神障害のある人の地域生活の実現には現在も多くの課題があります。このような歴史や現状について、文献等から学び、共に議論を重ねることにより理解を深めていくことが、3年次のゼミナール活動の主な内容です。また、精神障害のある人へのこれからの福祉に求められるものとして、地域社会に密着した実践を考えていくために、施設見学に出かけます。見学先は学生たちで希望を出し合って決めるなど、自主性を尊重しています。そのような活動を通じて自分なりの問題関心を形成し、4年次の卒業論文のテーマ設定へとつなげていくことになります。
ゼミの活動は、合宿などの課外活動も取り入れながら、グループで楽しく学ぶということを主眼におきつつ、各段階での課題の遂行を通じて、対人関係能力、文章読解力、問題発見能力、論文構成力を向上させることが目的です。4年次には卒業論文の作成に取り組みますが、3年次に培った各種の力を発揮してゼミ内で発表や議論を重ね、時に励ましあいながら、進めてほしいと考えています。大学4年間の集大成として論文を作成する過程で、共に学びあう仲間の大切さも再認識できると思います。

研究紹介精神障害のある人への支援

 ゼミでは、多様化する精神保健関連課題の現状や支援の実際について、調べ学習や施設見学を行いながら理解を深めています。研究活動では最近は、北海道の精神保健ソーシャルワークの歴史的展開過程を辿るため、史料・資料を集め先駆者にインタビューをするなどしており、各地で人やモノとの貴重な出会いがあります。また、障がい者福祉関係者や行政と協力し、札幌市の障がい者福祉の向上のために取り組むことも私の重要な仕事の一つです。

畑 亮輔准教授

ゼミ紹介
本ゼミでは、日本の現状である“超高齢社会”や“人口減少社会”に焦点をあてて学習を進めていきます。 3年次の前期では、学生たちは社会全体の動向である高齢化や人口減少がどのように進んでいるのか、今後どのような社会が来るのかということをデータに基づきながら整理します。さらに、そのような状況において人々が住み続けられる地域社会を作っていくためにどのような課題があり、それらの課題に対してどのような目標を掲げて取り組んでいけばよいのかということをまとめてもらいます。その中では、実際に現場に行き、フィールドワークを交えながら学習する機会も設定するようにしています。
そして3年次の後期からは卒業論文の執筆に向けて学習を進めていきます。各学生のテーマ設定に関しては制限を設けているわけではありませんが、やはり前期のゼミ活動と関連したテーマを選択する学生が多くなっています。ただし、“超高齢社会”と聞いたときに、多くの人が高齢者の問題として理解してしまうことが多いのですが、実際には『社会に占める高齢者の割合が多くなる』という現象のため、それに派生する課題はあらゆる年代の人に関係します。したがって、ゼミとしては高齢者への支援にだけ関心をもつのではなく、様々なことに関心を持ち、広い視野で社会を理解できる能力を形成できるように指導を行っています。
今後は、実際に地域の方々との交流も交えながら、超高齢社会における地域づくり・高齢者支援という点に焦点をあてて研究活動を展開していきたいと考えています。

研究紹介社会全体を支えるソーシャルワーカー

 超高齢化、少子化、そして人口減少といった厳しい状況にある日本社会において、子どもも障害のある方も高齢者も皆が安心して暮らしていくためには、これまでの対象者別、事後的な福祉の役割では不十分です。本ゼミでは対象者を限定せず、まちづくりまでを含めたソーシャルワークの新しい役割について実践的な研究・学びを追究し、学生も一緒に様々な活動に取り組んでいます。

大友 秀治准教授

ゼミ紹介
本ゼミでは、スクールソーシャルワークや地域における子育て支援など、福祉と教育の協働を中心とするテーマに取り組んでいます。スクールソーシャルワークは、近年、導入する自治体や学校が増え、さまざまな実践が展開されています。福祉と教育という異なる分野が、どのようにお互いの強みと弱みを共有し、いかに協働して子ども・家庭にアプローチするかが課題となっています。また、スクールソーシャルワーカーは、1人で複数の学校を担当することが少なくありません。十分な時間の確保にも課題があります。このようなスクールソーシャルワーカーに対するバックアップやスーパービジョンも重要なテーマの一つです。
地域における子育て環境でも課題が山積しています。近年は、貧困や孤立を背景に、家庭内の不和や非行、虐待などの問題が、どのような家庭でも起こりうる状況であると言われています。子どもも大人も、自己が承認される居場所を求めていると言えるかもしれません。このような課題に対して、自立と社会性の促進を目指す「Passage」など、効果的なプログラムに基づいた子育ての共同学習法が功を奏しています。訪問を中心とするソーシャルワークのアウトリーチや、居場所を創設するアクション・リサーチも重要な手法です。
以上のようなテーマを中心に、自分が関心のあるテーマや問いは何かを、広く、深く探ります。そして、それは先行研究でどのように取り組まれているか、その問いや課題を解決することでどのような社会貢献ができるかを熟考します。このような作業を通して、自己と社会の課題を見つめ、自己分析と社会貢献に取り組む視点や技術を高めてほしいと願っています。

研究紹介スクールソーシャルワークの発展に向けて

 私はスクールソーシャルワークについて研究しています。発祥の地アメリカでは100年以上の歴史を有しますが、日本で本格的に導入されたのはまだ10年ほど前のことです。現場のスクールソーシャルワーカーは、真摯な実践に尽力していますが、それを支える基盤が未整備です。写真は、他大学と共同で、米国イリノイ州シカゴのスワールソーシャルワークを視察したものです。国内外の理論や実践も参考に、北海道の特色を生かした実践展開を、現場と協働で模索しています。