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【心コミ・リレーエッセイ 2022年度 第14回:「ノーベル賞作家の作品から学ぶインタビューと語りの力」(大島寿美子/教授 専門:コミュニケーション学(科学、医学、ケア、ジャーナリズム)/グループアプローチ)】

2022/07/20

 スベトラーナ・アレクシェービッチという作家の名前を聞いたことはありますか。2015年にノーベル文学賞を受賞したウクライナ生まれ、ベラルーシ育ちのジャーナリスト・作家です。第2次世界大戦中にソ連軍の兵士として戦った女性たち、チェルノブイリ原発事故で被災した人々など、市井の人々にインタビューし、聞き取った体験の語りを作品として世に送り出してきました。語りには想像を絶する経験をした人間の苦しみや悲しみとともに、他者を思いやる心や楽しみを見つける力、苦難を乗り越えようとする勇気が描かれています。


 ここ数年、インタビュー技法やプロジェクト実習という授業で彼女の作品を紹介し、聞き書きや人物ルポを制作しています。

 インタビュー技法では今年も「コロナ禍という危機を学生がどのように体験しているか」について学生同士でインタビューを実施しました。終了後の感想を読むと、「インタビューする楽しさを知った」「ここまでインタビューが奥深いものと知らなかった」「相手の視点に立ってインタビューをしていたら自分との共通点が見えてきて驚いたし話が弾みうれしかった」「普段の会話にも活かせると思ったので、学んだことを活かしたい」「会話が苦手だと思っていたが、インタビューをしてみて人と接することが嫌いではないことがわかった」など、とても楽しんで学んでくれていたことがわかり、嬉しかったです。

 2020年から「コロナ禍という危機を学生がどのように体験しているか」をテーマとして今年で3年目です。機会を見て、学生たちがコロナ禍でどんな苦難に直面し、それを乗り越えようとしてきたのか、まとめてみたいと思います。


スベトラーナ・アレクシェービッチの代表作『戦争は女の顔をしていない』(岩波書店)