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【心コミ・リレーエッセイ 2025年度 第14回】:「「うまくいかない」のその先」(山本耕太/専任講師 専門:スポーツ心理学)new
2025/12/10
冬の気配が近づいてくるこの頃、心コミでは4年生の卒業研究が佳境を迎えています。
師走という言葉通りに、日々がバタバタと過ぎ去り、何か大事なことを忘れていないかと不安に駆られる毎日です。
4年生にとっては初体験の卒業研究に挑戦し、日々「うまくいかないこと」に直面し、試行錯誤を繰り返していることと思います。
「卒論なんてやらなくても」、「めんどくさいなぁ」という声が聞こえてきそうですが、いつかこの取り組みが、人生の何かしらの役に立ってほしいと思っています。
生成AIが発達し、自分で調べなくてもスマートに「答えらしい」ものに辿り着ける時代に、「わざわざ論文を読み、手足を動かしてデータを集め、分析し、自分の言葉で文章を書く」ことにどんな意味があるのでしょうか。
私の専門である「運動の学習」は、まさに「うまくいかない」の連続です。幼少期の自転車の練習を思い出してもらえればわかりやすいかもしれません。1日ではうまくいかず、何度も転び、途中で足をつき、時に投げ出しながら、それでも少しずつ感覚を掴んでいき、最後には達成感と共に「できた!」となるでしょう。
その過程はとても「大変」であり、「めんどくささ」を感じることもあります。ですが、この過程を乗り越えないと新しいスキルは獲得されません。すぐに元に戻ってしまいます。
卒業研究も、まさにこの過程と同じだと思います。転ぶことはなくても、途中で投げ出したくなったり、うまくいかなくなったりを繰り返しながら、なんとか「できた!」まで到達するのだと思います。
スマートさや便利さが先行する時代だからこそ、「うまくいかない」ことや「めんどくさい」ことに、人らしく泥臭く正面から挑戦する機会として、卒業研究の意味があるのかもしれないです。
発表会まで、残り1ヶ月ちょっと。「うまくいかない」「めんどくさい」を存分に楽しんで、達成感と共に新社会人として羽ばたいて欲しいです。

