経済法学科の実践的な教育・イベント

法律学も経済学も、その成果は実際の人々の営みに直接的な作用をもたらすものです。ですからこれらの学問は現場を無視して成り立つことはできません。こうした観点から、経済法学科では実務家等の外部人材を活用したり、実際の訴訟のスタイルを模した授業を実施しています。そのうちのいくつかをご紹介します(このほかにも外部人材を臨時講師として招く授業はたくさん存在します)。

ビジネス法務

企業や組織では、昨今、法令遵守の重要性が叫ばれ、法務やコンプライアンス部門が強化されています。それらの業務を担当する者は、組織内部あるいは組織外部と内部との間で発生する問題やリスクを予測して予防策を考え、実際に問題が発生すれば割って入り、調整し解決をしていかなければなりません。しかし、その作業の物理的・精神的負担はかなりのものです。それはどのような考えに基づいて、何を意識して行われるのか。

ビジネス法務の授業では、15 回のうち約半分を現場で日々、そうした諸問題に対応している専門の弁護士、企業の現職法務マン等を招いて、基本的なレベルでの講義をしてもらいます。学生は、現場の息遣いを肌で感じ取り、将来の糧としてゆきます。
(なお、「ビジネス法務」は2023 年度以降のカリキュラムでは「科学技術と法」へと発展的に解消してゆきます)

ビジネス法務の講義風景写真
※写真は実際の講義資料と講義を担当する弁護士たち

独禁法教室

経済法の授業では、毎年1 回、公正取引委員会による独禁法教室が開催されます。本学科では、公正取引委員会から若手管理職が出向いて講義を担当します。彼らの多くは、管理職になって比較的日が浅い若手官僚で、日々現場の指揮官として奮闘しています。ドラマになるなど、近頃何かと話題の多い公正取引委員会。熱い思いでわが国の競争政策や独禁法の運用を語ってくれるでしょう。

独禁法教室の講義風景写真
※写真は公正取引委員会提供

大学対抗法律討論会

札幌周辺の大学のゼミが民事上の事例問題について、対戦形式のディスカションを行うのが「大学対抗法律討論会」で、毎年12 月に開催されます。出場ゼミは出題された事案について、弁護士として現・被告の立場から主張を構成し、討論の準備を進め、期日までに書面を提出します。討論会では、事前に交換された書面を基に、毎回、活発な議論が展開され、最終的にジャッジを務める諸大学の先生方によって評価されます。本学科の出場者は、毎回優秀は成績を収めています。

討論会後はレセプションを兼ねた問題検討会。出題者やジャッジの先生方からより詳しい話を聞いたり、他大学の学生とも交流を深め、大学での学習や就職活動に向けて大いに刺激を受けています。

※コロナ禍中はオンラインで開催

過去の問題

2021 年 虚偽表示と錯誤

2020 年 プロ野球ファールボール訴訟

大学対抗法律討論会の写真

担保物権法講演会

担保物権法講演会のスライド画像

民法の授業では、道内銀行の現役行員、不動産鑑定士を講師に「担保物権法講演会」を開催しています。担当教員のゼミ学生は、4 月に企画チームを結成して準備を始め、図書館所蔵の担保物権法に関わる文献や資料を読みあさり、毎週のように講師らと打ち合わせを重ねて準備を行い、7 月に「担保物権法講演会」の本番を迎えます。教科書には載っていない銀行実務上の問題について、学生たちは、自分たちの勉強の成果を示し、現役銀行員には、銀行実務上の対応策を講演していただきます。

講演会体験記

講演会に参加した来住さんの写真

来住 優太

北海道小樽桜陽高校出身

2020 年入学

講演会の準備では、実際に企業で働いているような活動をします。例えば、外部の土地家屋調査士や法務局の方に電話で協力の依頼をしたり、会議のアジェンダやレジュメの作成を行いました。また、士業の方を講師としてお招きするので、法律専門家との関わりを深く持つことができ、社会に出て必ず役に立つ色々な事を経験し、学ぶことが出来ました。グループワークですので、限られた準備期間の中で講演会を成功させる為にはチームワークが非常に大切です。私のチームは全員で一眼となり、本番直前まで何度も内容の改善、修正を模索した結果、とても良い発表をする事が出来ました。グループワークをする事は大変で困難がいくつもあり、特に自分の意見を人に伝える事が非常に難しく大変でしたが、活動を終えて、私はこの講演会活動によって総合的に力がつき、人間的に成長が出来たと実感しています。