福祉計画学科の学びの特徴4つのポイント

福祉計画学科では、社会福祉を様々な角度から学ぶために多彩な専門教育科目が用意されています。社会福祉学を基礎としながら、社会学・経済学・法学など幅広い視点から社会福祉を理解することにより、現代社会において多様化・複雑化・高度化する福祉問題を複眼的に捉える力を身につけます。

このような専門的かつ学際的な学びが、卒業時における学生の幅広い進路選択を可能にしています。

講義ピックアップ①

福祉計画論Ⅱ

福祉サービスにおける市場化の動向とその課題

この科目では、1990年代(構造改革期)以降の福祉計画の特徴である市場型福祉に焦点をあて、その市場化の特徴と本質・課題を探ります。まず、イギリスにおける「市場化」を整理した後、イギリスで体系化された「準市場」の理論枠組みを紹介し、それを日本の福祉政策の動向にひきつけて検討します。また、「市場化」の趨勢が社会福祉実践(ソーシャルワーク実践)にどのような影響を及ぼすのかについても考えていきます。その上で、福祉サービスのあるべき姿を「社会福祉サービス」をキーワードとして提示します。最終的に、福祉サービスの市場化に関する動向と特徴を理解し、サービス利用者の選択と提供者の競争の関係を説明できるようになることを目指します。

講義ピックアップ②

公的扶助論

貧困・生活困窮の実態と公的支援制度

貧困や低所得による生活困窮は現在の日本においても深刻な社会問題の1つです。その特徴はそれらが必ずしも可視化されずに存在していることです。この科目では、日本において公的扶助制度の中核を担っている生活保護制度を中心に、基本原理・原則、対象・範囲、方法、歴史等について学習します。そのことから、公的扶助制度の課題や今後のあり方を考えつつ、新たな生活困窮者対策として施行された生活困窮者自立支援法等の低所得者対策の仕組みについてもみていきます。さらに、諸外国における公的扶助の歴史と展開も概観することで、世界における日本の貧困問題とその対策について考えます。

講義ピックアップ③

コミュニティ論

人口減少社会と新たなコミュニティの創造

コミュニティの歴史は多様であり、そこに生活する人々のライフスタイルも多様です。今後、地域における自立生活を考える上では、自分たちが住むまちを快適にするためには何が必要なのかという問いが重要です。そのためにはコミュニティについて、①定義を考え、②分析方法と地域診断の手法を学び、③身近な町内会・自治会の活動について都市部と町村部の違いを学ぶことで、組織の運営を知り、④新しいたすけあいの活動の論理と組織運営を学ぶことが求められます。

講義ピックアップ④

医療経済学

日本の医療保険制度と医療経済の基礎

医療経済の目的は、受診機会の平等、治療方法の効率および費用負担の公平に基づいて医療制度を設計し、改革の方向を探ることにあります。わが国の国民皆保険は一定の成果が認められるものの、今日では医療費の増加により医療保険財政の赤字が拡大し、医療保険制度の維持・安定化が重要課題となっています。この科目では、こうした課題について社会保障財政との関係を踏まえながら検討するとともに、アメリカのマネジドケア(管理医療)との比較を通して、日本の医療制度の特徴と改革の方向を考えていきます。また、医療技術の高度化や医療IT(情報技術)について、最新の動向を紹介します。

講義ピックアップ⑤

社会保障論Ⅱ

現代における“くらし”・“しごと”から社会保障制度の理念や制度を理解する

社会保障論Ⅱでは、現代における社会保障の制度(年金制度、医療制度、労働保険制度、社会福祉制度等)が、それぞれどのような仕組みや利用実態になっているかを人々の“くらし”と“しごと”の観点から理解していきます。それは単なる制度的理解や知識の獲得に留まらず、社会保障を通じて“くらし”や“しごと”の安定を考えることになります。また、我々は社会保障という“生活を支え合う仕組み”をなぜ、必要とし、いかにして持続していくかという点も探求していきます。

講義ピックアップ⑥

ジェンダー論

ジェンダーの視点から「生きづらさ」を問う

私たちの社会やその秩序、規範や価値観は密接にジェンダーと結びついています。社会福祉の分野もその例外ではありません。日常生活では意識されていなくても、「違和感」「不快感」を感じる場面の背景にジェンダー規範があることが多いのです。これが最もはっきり現れているのが性別役割分業です。この科目では、家族・職場・学校等で性別役割分業を生み出している条件について具体的データを踏まえて考察します。さらに、性別役割分業に基づいた秩序とその背景にあるジェンダー意識を変え、その再生産を防ぐ可能性を模索します。