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ワインレポート 瓶詰め直前編

2023年4月1日(土)岩見沢市栗沢:10Rワイナリー
天候:曇り
気温:6℃

 以前にもお伝えしましたが、今回のスパークリングワインは、伝統的方式、トラディショナル方式で造られます。
 前回は、収穫から搾汁、樽に詰める前の仕込み段階までをレポートしましたが、今回は、樽の中でワインの発酵がどのように進み、現在どのような状態なのかについてレポートします。

ブルース:
 樽の中にあるワインは、発酵の最終段階で、少し残っている糖類は酵母菌が食べて、ドライになって、糖度なくなったらもっと綺麗になる。透明感が少し出てきたので、浮いている酵母菌とかが沈んで、上澄みの沈んだものを澱引きして、瓶詰めをするけれども、今は発酵が完全に終わるまで待っている状態です。
 テイスティンググラスに注いだサンプルのシャルドネがこれです。

 少し濁っていることで、できればもうちょっと透明感がある方がいい。要はこのまま瓶詰めすると、この濁りの状態だと、澱が多めに出ちゃうから。ほら澱がまだ舞い上がってるでしょう。やっぱり酵母菌とかタンパクとかは、それはケース・バイ・ケースで沈み方が違うんですよね。本当に何年ワイン造りをやっていても、今年のこのシャルドネはこの造りでやったらこういう結果になるとは予測ができない。何をすればいいのか絶えず試行錯誤でやってますけど、100%はありえないことですから、もうちょっと待った方がいいと思いながらやってる。ただそれも限界があって、多分、4月下旬にはビン詰めする予定。4月中にはビン詰めして瓶内二次発酵に入る方がいいと思う。

 今テイスティングすればわかると思うけど、もうすでに十分おいしいワインになっている。結構いいシャルドネの香り、樽香のバランスも結構いい具合に出ている。これ間違いなく美味しいスパークリングになる。ただし、澱が多いままで二次発酵の瓶詰めに入ると澱抜きする時にはちょっと作業が難しくなるし、あとロスが大きくなることから、できるだけそれを防ぎたい。この状態で瓶詰めをやっちゃいけないことはないけど、理想的なことを考えてもうちょっと待った方がいいかなと思ってます。

 今回の余市産シャルドネのことを改めて考えてみると、本来シャルドネはどっちかというと繊細的な品種ですから、最初にジュースで飲むとそんなには特徴を感じない。シャルドネというより、まあ葡萄ジュースというようなもんですけど、特徴はつかめない。赤ちゃんと同じように育っていったら段々そのシャルドネの個性が出るっていうことですよね。
これは発酵が進んでいく中では、段々そういう赤ちゃんらしいところがなくなって、それで本来の姿が見えてくる。我々管理面では、頻繁にテイスティングをして、やっぱり野生酵母、添加物を使ってないから、なんていうか、そういうことに気をつけないといけないんですね。

北星オリジナルワインが入っている実際の樽

 良い野生酵母菌だったら良いワインになるんだけど、悪い野生酵母菌、いわゆる雑菌が繁殖するとワインの香り、味が劣化する。それで何をするかっていうと、基本的にはテイスティングを頻繁にして、いい道を続けるようにしていきます。中には物によっては、私は個人的な言葉では「斜めになっている」と表現しますが、ちょっと怪しい香りが出始まってるとか、それだったら手を加えないといけない。例えば、良い酵母がもっと元気に活躍できるような環境にしておくとか、場合によっては酸素が足らないから補うとか、寒すぎるからもっと蔵の暖かい場所に移動したりとかをします。

 今回のシャルドネは、余計な手間をかける必要のない真っ直ぐでやさしい良い子でした。育ちのコントロールを極力抑えて、できるだけそのブドウの持っている力、このシャルドネの本来の風味をうまく引き出したい気持ちで毎日見守っています。

 次回は、いよいよ瓶内二次発酵を促していくために、樽から瓶詰めをする作業をレポートします。お楽しみに。

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