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ワインレポート 瓶詰め作業編

2023年4月22日(土)岩見沢市栗沢:10Rワイナリー
天候:曇り
気温:7℃

8:55 10Rワイナリー事務所内 行程説明

ブルースさん:おはようございます。普段はいきなり醸造所へ入ってそっちで説明しますが、今日はここでします。その前にまず今日の瓶詰め作業をやる人はどんな方達ですか?

高橋課長:はい高橋です。企画広報課の課長をしています。隣りから順番に紹介します。まず、福祉臨床学科3年 我妻利泰さんです。次に、経済法学科3年 柳瀬里梨さんです。企画広報課職員の小野寺さんです。以上、よろしくお願いします。

ブルースさん:私はブルースと申します。こらちは10Rワイナリーに勤めている上田さんです。上田さんは、皆さんの大先輩、北星学園大学のOBです。上田さんは醸造所内の仕事をやる人で、私はただ横で立っている人。私の右腕です。

 今日は、皆さん全員に長靴を履いて帽子をかぶってもらうことをお願いしています。大丈夫ですか。バンダナでも大丈夫です。毛が落ちなければ、タオルでも大丈夫ですよ。一応そこまでは、準備していないと保健所に文句を言われたら困るので。

 あと、荷物はこっちに置いてください。これから皆さんに作業してもらう醸造所内に荷物を持って行くと足に引っかかってこけちゃうとか、そういう心配があるでしょう。あとは、掃除するときには水で洗ったりすると濡れちゃうのでこちらに置いていってください。よろしくお願いします。まずは醸造所の中に入って、入ったらすぐ右側に流しがあるから、石鹸で手をよく洗ってください。

 色々なお願いは後で説明しますけど、とはいえそんなに言わないけど一つ二つだけですけど、一つ今言わせてもらうことは、ドアから出入りする時に、このドア、玄関のドアも出入りする時には、できるだけドアは開き放しにしないでください。やっぱり小バエとか、まだ寒いからそんなにたくさんじゃないけど、いなくはないことで、瓶詰めのときには小バエとか瓶とかに入ってしまうと大騒ぎになっちゃうことがあります。ですから、ホコリとか虫があまり入り込まないようにドア開けてスッと入って、それでドアはすぐに閉めましょう。

 じゃあまずは入って手を洗いましょう。

9:02 醸造所内

ブルースさん:このビンは、シャンパン用のビンです。最初は一人が瓶をケースから取り出して洗う。瓶内の水洗いをしてもらいます。その人が瓶にワインを充填する人に渡す。

 次の人はステンレスタンクから瓶にワインを充填する。ワインをビンに入れる作業をする人です。

 目の前にあるタンクが皆さんのワインを移したものです。タンク内は一杯じゃありません。だいぶ少ないです。これは1000リットル入りますが、皆さんのワインは樽1本分だけなので、だいたい220リットルが入っているから5分の1しか入っていません。このタンクをフォークリフトで持ち上げて、蛇口からビンに、そして、だいたい9割くらいこの辺まで一杯にしてもらって、それが一つの作業です。

 3人目はそのワインをもらって、この機械を使って王冠で蓋をします。それを渡して最後の4人目がそのワインをこの台車に並べていきます。あのように横にして積んでいってください。

 今大雑把な説明をしました。途中でもうちょっと細かいところの説明をしますけど、そういう4つの仕事をやってもらいます。

 この中で多分一番力が必要なのは王冠を瓶にはめる作業です。この王冠は、閉めが甘ければだんだん瓶内の二次発酵が進んで気圧が上がり始まると漏れちゃうんですよ。場合いによって飛ぶこともあるんですね。それが良くないのでこの閉めをちょっと強く、実際に始まる時に我々が手本をお見せします。注意した方がいいんです。あとはこの作業は一番器用さが必要かな。誰がやるかは皆さんで決めてください。一番器用で一番力のある人。

 いいかな、今瓶内を洗う作業をお見せします。この瓶を取って水でこういう風に少し回しながら揺らす方がいい。取る時に結構水が飛ぶ可能性もあるんだけど、揺らす理由はこの瓶の内側と外側を完全に洗いたい。もうちょっと強く瓶を押す。この仕事、たまに水が跳ねちゃうことがあります。カッパとかは用意できますけどOKですか?一個洗って横に立てかけて水切り進むように置いて、次のものを取って洗っていきます。で、この充填の人が次の瓶が必要になったら取って渡す。

 瓶にワインを補充する人は、これから実際にやります。蛇口の角度は左右に動きます。それは右利き、左利き、人によっては一番良い角度とかが変わってくるので、担当の人が一番使いやすい状態に変えたりできます。瓶は底を持たないと入る量が判らなくなるので注意してください。

王冠を付けるときに、ちょっと斜めにして下に置いて作業することが自分としては一番いい。それでしないときには手をこう。ガコンとはまればいいと言いましたが、もっと強くやらないといけない。今の強さとしては大丈夫だけど、まずは王冠のこっちを見ると一番端っこの方がスカートという女性のスカートと同じようだけど、これが横になっている。広がっているかもしれない。分かるかな。これをやっちゃうと真っ直ぐにストンと来るはずですよね。それが一つのポイントで、その後はこういう風にして、手で回そうとしても、回らないくらいに強く押す。

それでは、やってみましょう。

瓶内洗浄(左)・瓶詰め(中)作業の様子
王冠閉め作業の様子

(これまでのワインの状態について)

本学卒業生の上田さん

上田さん:そうですね。しっかり酸が残っていて、スパークリングワインに適した状態のブドウが入ってきて、比較的発酵に時間がかかったんですよね。野生酵母で造っているので、それが複雑味を出すことには繋がっていると思います。

 あとは、発酵終盤から熟成にかけてフランス産の新樽に入っていたので、これはフレンチオークで、フランスで作られた、ブルゴーニュで割とよく使われているメーカーの樽だと思います。新樽に入っていたので、割と上品な樽の香りがついていて、それもまた複雑味にきっとこの後の瓶内で出てくる澱が溶け出した香ばしさとも相性がいいと思うので、上品な仕上がりが予想されると思います。100%シャルドネで、ピノ・ノアールを混ぜていない分、酸があるタイトなワインだとは思うんですけど、そこに新樽の香ばしさとか甘さというのが加わって、上品にまとまると思います。ピノ・ノアールが入ると多分、味にもうちょっと膨らみが出てくると思うんですけど。シャルドネが多いとシャープで綺麗なイメージがありますね。シャルドネの持っているものと樽の相性ですね。味の構成でピノが入るともうちょっとふくよかさとか膨らみが出やすいと思います。ピノ・ノアールは入れなかったのでスパークリングらしいキリッとした酸とか引き締まりがありつつ、新樽なんでちょっと樽からの複雑味も出て、単純ではない良いスパークリングワインになるでしょう。

11:53 醸造所内(瓶詰め終了)

ブルースさん:最終的に何本になりましたか。297本(澱1本含む)。多分7%ぐらいは、この後9ヶ月後くらいに底にたまった澱を抜くディコルジュマンするときには少なくなるので、完成は275本ぐらいかな。まだ分からないけど。澱抜きするときには量が減り、他の瓶に入っているもので足すことになるので、だいたい普段は3から7%ぐらいは少なくなくなります。

 この後、作業に使った物を水洗いして本日の作業は終わります。

 この間、先週末から月曜日に澱引きして、味見をチェックして結構おいしかったなと思ったので今日の作業を決断しました。

 この後しばらく様子をみながら、ちょっと暖かい場所に移動して二次発酵が順調に進むようにします。それが一番の要素です。二次発酵がうまくいかないと、ただ甘口の濁ってる泡なしのワインになっちゃいますから。間違いなく二次発酵が始まって上手く進むかということはちょっと心配ですけど、割と健全なブドウ、健全なワインだったので多分大丈夫。樽で作ったワインの場合、ベースワインが野生酵母で発酵させて、できるだけ添加物を入れないで二次発酵を促すということは、酵母に関してはあまりにも厳しい環境なので、二次発酵のためのバイオ酵母を加えます。シャンパン方式で用いられるバイオ酵母と同じものです。瓶内環境のストレスに強いものを選んでそれを添加しました。

 この後は、基本的に瓶に触らないけれど、多分1ヶ月後には1本開けて泡が出始まっているかどうかを確認します。二次発酵はだいたい数ヶ月かかるんですよね。やっぱりちょっと厳しい環境だから、その辺はスパッと終わらないことですけど。

 その後のポイントとしては発酵後の瓶内貯蔵によっていろんな味、香りの変化、旨みとか香ばしい風味が溶け込む。

 ほぼ1年ぐらい経って、味がいいところに来たら、それからディコルジュマン(澱抜き)をします。逆さまにしてほぼ全ての澱をネックの方に落として、それでポンと開けて気圧でその澱の分をふき飛ばして、少なくなった分を同じワインでちょっとトッピングして、それで最後には新たに蓋をして製品になるんです。スパークリングワインの完成ですよね。

 完成後に寝かせるってことは、そこまで気にしなくてもいいです。よく長く寝かせればいいって言う人いますけど、必ずしもそうともいえません。ディコルジュマン以降の瓶内の味の変化が割と早いからで、きれいな泡立ちが弱くなったりします。そういう意味ではやっぱりディコルジュマンしたら割とすぐ出して、冷やして飲むことが基本的なものですよね。まあ数年は寝かせても問題はありませんが、より美味しくなるということではないと思います。

12:25 事務所内

ブルースさん:先きほど言いましたが、2ヶ月後に1本は泡があるかどうかということをチェックします。それから12月ぐらいには来てもらって、一緒にテイスティングして、ディコルジュマンをいつするかを決めます。今はすごくいいからディコルジュマンする時を決めてもいいのか、それともやっぱりもう少し待ちたいのかとか、そういうような話になるんですけど。その時は、一本を選んで外の雪に逆さまに突っ込んでおいて、半日くらい置いて、テイスティングをします。

 それでは、その時また会いましょう。今日はご苦労様でした。

(作業を終えて学生の感想)

社会福祉学部 福祉臨床学科3年 我妻 利泰さん

とても貴重な体験でした。60周年の記念のワインということで特別な物であると改めて実感することができました。ワインを瓶に詰める作業に参加させていただいたり、洗浄作業や貴重なお話を聞かせていただけて大変素晴らしい体験になりました。ワインについてあまり知識がなかったため、関心を持つきっかけになりました。貴重な体験をさせていただけてありがたい気持ちでいっぱいです。

経済学部 経済法学科3年 柳瀬 里梨さん

ワインの香りに包まれて、素敵な音楽が流れる中、瓶にワインを適量に注ぐ慎重な作業や力を込めて瓶に蓋をする作業、瓶洗いから最後の清掃まで工程を一通り経験をしました。ここから発酵のために、1年保存して時間をかけるのには驚きました。普段見ることのない機械を見たり、想像できなかったワイン完成までの過程を知ることができて楽しかったです。大学開校記念60周年記念のワイン造りに関わることができて嬉しいです。

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