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英語学習は長い旅|「リーディング」上のステップ

BY: 江口 均

英文学科 准教授

専門領域:英語教育学, 第二言語習得論、英語教育、第二言語習得、第二言語獲得、海外語学研修。「English Communication」ゼミを担当。

私がリーディングをどのように身に付けたかについてお話ししますね。

まず、英語を日本語に翻訳できることと、英語を英語で読むことはとても違います。そこで、英語を日本語に訳さずに読めるようになった私の経験を振り返りたいと思います。

英語を英語で読むことは、高校卒業後、予備校に通ってる時に先生に教わりました。最初はとても簡単な英単語で書かれた物語を読み、ストーリーを想像しながら読むように言われ、そのようにしました。すると徐々に、英語だけでストーリーを追うことができるようになりました。日本語の本を読んだ時のように、書かれている出来事をイメージできるようになったのです。

それに加えて、辞書の助けが必要な時は、英日辞書ではなく英英辞書を使いました。私が使った辞書は、英語学習者向けに作られた「ロングマン英英辞典」です。

北星学園大学文学部英文学科

英語を英語で読むというスキルを身に付けたことで、大学では英語を専攻しました。その時までは英語を読めるようになることが英語を勉強する目標だと思っていたので、自分は英語が得意なんだと信じていました。後に、それは間違いだったと気づいたのですが、これが私が英語を一生学び続ける最初のきっかけとなりました。

英語で英語を読むというスキルのおかげで、大学受験の時は時間に余裕をもって試験に挑むことができました。入学後も、英語の成績が飛躍的に向上しました。

しかし、英語を英語で読むだけでは十分ではなかったのです。24歳の時に大学院に進学してから、もっと多くの文章をより速く読む必要がありました。その時に「トップダウン処理」という概念に出会いました。これは、英語の学習や読解力の向上に大きな影響を与えました。

「トップダウン処理」とは、単語や文言だけに焦点を当てるのではなく、既存の知識、経験、文脈、そしてそれ以前に書かれた内容などを頼りに文章を理解することを意味します(反意語は「ボトムアップ処理」)。この新しいアプローチにより、私は英語学習と理解に取り組む方法が根本的に変わりました。

「トップダウン処理」を取り入れたことで、読むことがより楽しくなりました。全ての単語を理解していなくても、「意味が自然と文章から訴えかけてくる」ということが度々起こるようになったのです。時には全ての文章を理解できない時も、キーワードを探したり、著者が何を表現しているのかを考えることで、パズルが突然解け始めることがありました。このときの興奮や幸福感は、英語を読むということを諦めなかったからこそ得られたもので、英語を勉強したことが、私の人生をより豊かなものにしました。これは、その後のリスニングの向上にもつながりました。なので、「うまく話せない」「話す力が向上しない」という人は、今一度、読むことを再確認してみてはいかがでしょうか。

今回は、リーディングのスキルを向上させるためのヒントを、私の経験にもとづいて紹介しましたが、英語を本当に上達させるためには、書くことと話すことも重要です。最終的には読んだ文章を使って表現できるようになり、読んで学んだものを自分のものにする、音に変換できるようになる。そのことを身に付けられれば、英語を使う能力は著しく向上します。さらに、スピーキングも身に付けることで、さまざまな場面、状況で英語を使えるようになります。

読む、聞く、書く、話すという一連の学習サイクルを作ることで、英語の全体的な能力が飛躍的に向上します。今後、リスニング、ライティング、スピーキングの習得方法についても解説しますので、英語の学習という大きな目標が達成できるように一歩一歩頑張りましょう。