北星学園大学・北星学園大学短期大学部

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インドネシア

Indonesia

期待の遥か斜め上をいく経験

マラナタクリスチャン大学

文学部 英文学科 3年 男性

インドネシア (2018.4〜2019.3)

派遣留学


Ⅰ.学習面

1.授業の様子、内容はどうでしたか。

 北星よりもプレゼン、グループワーク、ディスカッション等が多いです。教科書を使う授業の場合、一回に進む量が膨大なので、読み込みが十分でないとお客さん状態になってしまうのではないかと思います。留学生が少ないということもあり、「日本ではどうなの、日本人としてどう考えるの」といった問いに答えなければならない場面が多々あり、英語力以前に、自分の意見をしっかり持っているのかが試されていたように思います。


2.語学のハンディはありましたか。

 ハンディではなく、単に自分の英語力不足によって、ディスカッションで頭に浮かんだことを思ったまま言語化できなかったり、プレゼンテーションで苦労したりすることは度々ありました。


3.授業についていくため、特に工夫したことはありますか。

 授業で扱う資料やパワーポイントを事前に公開してもらえる授業の時は、当然しっかり読み込むことで授業の理解度が変わりました。また、現地の一般学生が既に学んでいて当たり前の内容も、私たちが日本では学んでこなかった内容である場合もあり、授業前に独学で補うこともありました。


4.教授陣は指導面で援助してくれましたか。

 分からない内容はいつでも質問しに来てくれというスタンスでした。留学生自体が少ないこともあり(留学後半は文学部に私1人)、授業以外のこと、特に文化の違いによる悩みはないかということまで気にしてくださる方が多く、非常に協力的な方々であると感じました。


5.学習面で一番苦労した点は何ですか。

 インドネシア人学生と、北星大の英文学科の(私が知っている限りの)学生のグループワークの進め方の違いに戸惑う場面が多かった点。
 例えば、日本ではまず役割を分担し、個人の作業を終えてから最後に全員のものを組み合わせたり、話し合ったりすることが多かったのですが、インドネシアのグループワークは、最初から最後まですべて全員で行う。少し効率が悪いのではないかと思うことや、常に集まりたがるため、急に呼び出されることもあり、自分のペースで進めることが難しかったです。


6.その他、学習面で特に記しておきたいこと、準備しておいて良かったこと、準備しておけば良かったことは何ですか。

 1講目が7時30分から始まる(金曜日は礼拝の関係で7時から)ため、生活リズムを整えることが大切です。また、何講目かにかかわらず、時間通りに来る教授のほうが少数であり、30分来ないことや、急にキャンセルになることもしばしばでありました。急な変更があることを念頭に置いて行動することが大切であると思います。
 そして、インドネシア人にとっても英語は外国語であり当然完璧ではないのですが、彼らはとにかく話すことが上手でした。日本にいるうちから、間違ってもいいから英語で自分の意見を発信できるように練習しておくべき(心がまえだけでも)だと思います。


Ⅱ.生活面

1.滞在先

 マラナタクリスチャン大学のゲストハウス


2.滞在先について感想・意見など

 インドネシアの生活水準を考えると、とんでもない豪邸に住まわせていただき感謝しています。大学の11階にあるため、エレベーターで降りるだけで教室に行くことができ、朝が早いインドネシアの生活においては非常に助かりました。


3.ルームメイトとはうまくいっていましたか。

 留学後半は私1人だけだったので問題はなかったです。最初の半年は、北星大からの派遣生(英文の同学年)と一緒に住んでいました。
 インドネシアは部屋をきれいにしていなければすぐに虫が湧いてしまうので、部屋をきれいに保つことに苦労しました。


4.食生活はどうでしたか。

 基本的に辛い物が多く、その辛さも日本のものとは比にならない辛さでした。また、味付けが辛すぎるか甘すぎるかの両極端で、濃いものが多かったです。
 私はインドネシア料理全般を好んで食べていましたが、その味の濃さゆえに、体調を崩した時だけは食べるもののなさに頭を抱えました。実家から送られてきたレトルトのおかゆが心に沁み、品ぞろえの貧弱な(日本比)コンビニでも、ポカリスエットが売っていることが救いでした。


5.課外活動、特別行事、催し物などクラス外での活動に参加する機会はありましたか。

 学内で行われるマラナタフェアと呼ばれる、大学祭と進学説明会と就職説明会を合わせたようなイベントで、北星大のブースを担当しました。主に、留学を希望するインドネシア人学生に、北星大がどんなところなのかを説明するのが私の役割でした。高校生向けのマラナタのプロモーション活動に、副学長さんと一緒に参加させていただくこともありました。
 学外では、週一回、バンドン市内の中高一貫校で日本語を教えるボランティアに参加する機会もありました。


6.休暇について

(1) 週末はどのようにして過ごしましたか
 基本的には、何も予定がなくても誰かから急な連絡がきて、一緒にご飯を食べたり、カラオケに行ったりして過ごすことが多かったです。留学後半は、バンドン市内の他大学のコミュニティーに参加させてもらい、希望者に日本語を教えに行くこともありました。少し景色を変えたいときは、ジャカルタまで行き、普段は食べられないような高めの日本食を食べたり、JKT48の劇場公演を観たりすることもありました。
(2) 長期休暇はどこでどのようにして過ごしましたか。
 一週間ほど、インドネシアのロンボック島とタイへ行きました。交通手段は飛行機、ロンボック島内の移動は現地の知らないおじさんの車、タイではタクシー、バス、電車、トゥクトゥク。ロンボック島では海を見たりゆっくり過ごすことがメインで、タイではノープランでその場でネット検索し、良さそうな観光スポットを巡ったり、タイ料理を食べたりタイ古式マッサージを受けたりという感じであった。
 残りの期間は一度日本へ一時帰国しました。主にアルバイトをしながら、日本とインドネシアの違いをしっかり感じ、もう一度頭の中を整理する時間に充てました。
 春派遣では、夏休みがとても長くなる(2か月半~3か月)ので、どう過ごすかは非常に重要だと思います。インドネシア内を旅行する以外に、東南アジア諸国へも日本から行くより安く行けるので、そちらもおすすめです。


7.印象に残った生活経験、留学先の国の人々の生活などはありましたか。

 何から何まで印象深かったのですが、一つだけ挙げるなら、日々ハエやゴキブリに囲まれながらの激安・激うま屋台での食事が特に印象的でした。お腹を壊す恐怖と戦いながらも通い詰めたのは良い思い出です。
 人々は、何に追われるでもなく自分たちのペースで生き、「何かあっても笑っていれば何とかなるさ」といったようすでした。
 私の周りにはインドネシア基準での富裕層ばかりで、心あたたかな人が多数でしたが、大学を出れば物乞いをしている人や弱り果てている人をたくさん目にしました。こちらが日本人だとわかると、汚い手段でお金を巻き上げようとする人も大勢います。また、人種や信仰する宗教による差別に関する話をよく耳にしました。短い滞在期間では知ることのできない悪い部分を知ることも目的の一つだったので、その点は非常によかったと思います。


Ⅲ.大学について

1.大学の雰囲気はどうでしたか。容易に溶け込むことはできましたか。

 大学全体が活気に溢れていて、学部ごとの団結感が強いなと感じました。また、教授と学生の距離が非常に近く、よい意味で日本の中学や高校のような雰囲気がありました。学生、教授、スタッフ等、初対面から人見知りせず私や日本に興味津々で接してきてくれる方が多く、容易に溶け込むことができました。


2.設備など、学習にふさわしい環境でしたか。

 恵まれすぎている日本の環境や北星大の設備と比べてしまうと当然物足りないのですが、困ることはありませんでした。


3.大学の受け入れについてはどう感じましたか。

 特に、International Officeの職員とボランティアが何から何までサポートしてくれて、これ以上ない受け入れ態勢だと感じました。諸々の連絡がすべて直前なのは改善してもらいたいと思うと同時に、それはインドネシアでは当然のことなので改善を求めてはいけないとも思います。


Ⅵ.総括

1.留学経験は期待に応じたものでしたか。

 期待の遥か斜め上でした。望んでいたよりもずっとずっと素敵な経験になったという意味で、自分が予想していた留学を終えた後の自分とは違う自分になることができました。


2.留学をして有益だった点を挙げてください。

 自分が日本人であることを強く意識できるようになった点。日本のことを分かったふりしていたことが分かった点。幸せの基準値が下がった点。英語力、インドネシア語力を少々、それら以上に、日々を生きるための力を得た点。自分の中の「常識」の範囲が広がった点。自分は思っていたよりもできない人間だと認められるようになり、思っていたよりもできることがあるのだと思えるようになった点。自分はどんな環境でも自分であると確信できた点。隣の芝はとても青いとわかった点。


3.これから先、留学経験をどのように生かしていきたいと思いますか。

 帰国してから「あ、これはインドネシアに行く前には思えなかったことだ」と感じる瞬間がたくさんあります。今の時点では、意識的に留学経験を生かすことは思いつかないのですが、これから迷ったとき、辛いとき、自分の中の頼れる絶対的なものになっていくのだと思います。


4.約1年間の留学生活を振り返って、感じたことは何ですか。

 留学前まで、北星大の英文学科の一学生として生活することは私にとって当たり前の日常で、マラナタの学生として生活することは非日常であり、ひとつの夢でした。
 それほどマラナタの学生になることを熱望していたのにもかかわらず、バンドンでの生活に慣れたころ、ふと日本へ帰りたくなりました。その時に、知らぬ間にマラナタの学生としての生活が自分にとっての日常になっていることに気がつきました。
 帰国して少し経った今は、またインドネシアの刺激が欲しくなっています。もっと言えば、テレビやiPhoneの画面越しでしかみたことのない場所に行ってみたいと強く思います。
 インドア派を自称して生きてきたのですが、インドネシアや中国や韓国の友人に半ば強引に外へ連れ出してもらったこと、私の目には活き活きとして見えた他大学の日本人に刺激をもらったことで、どんどん自分の外の世界へ出ていくことも学ぶことができました。ありきたりな言葉は好きじゃないのですが、やはり出逢いで人は変わっていくものだと思います。自分の部屋が一番落ち着くのはきっとこれからも変わらないと思いますが、今いる場所じゃないどこかに対して感度を高くしておくことだけは忘れずにいたいと考えることができるようになりました。

 

 

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